約束 | ナノ


 07



「やっぱり近くにいるんじゃねーか!!」


(き…気づかれた!?)

「あ、あの…最後にあなたの声を聞きたくなって
電話じゃなくて直接聞きたくて…
わがまま言って帰国させてもらったの。」


携帯から聞こえてくる声を無視し、俺は辺りを見渡す。

すると

俺は見つけた。



「灰原っ!!」




きゅっ―…


何を言うでもなく
ただ、抱きしめていた―



「きゃっ…ちょっと待って!!
い、い、いきなり抱き締めないで。」

「んなこと気にすんな」

俺は構わず灰原を抱きしめた。





「お前、大人っぽくなったな」

「…五年も経てば、少しは大人にもなるわよ」

抵抗していた灰原も大人しくなって言った。


「…ったく…心配かけんなよ」

「…ごめんなさい」


「俺は…お前の声聞いたら
絶対我慢出来なくなると思ったから

この五年間連絡しなかったのによ…

お前は…何で来てんだよ」



「ごめんなさい…」



灰原は悲しそうな顔をしてそう謝った。




「お前はこのまま日本に残れ。
俺がけりつけて来てやる。
これは俺の事件でもあるんだからよ」


「はぁ、あなたを一人で行かせるわけにはいかないわ。私も行く。」



「…行くなって言っても、どうせ行くんだろ?」

「分かってるじゃない。」



「わーったよ…俺が必ずお前を守ってやっから」


「でも結局、こうなる訳ね…。
案外、私達って似たもの同士てことかしら?」



「…似てるのかもな」


俺がそう言うと、灰原は少し照れくさそうに笑った。
こんな風に灰原の笑顔を見れたのは、本当に久しぶりだった。




「ねぇ、工藤くん」

「なんだ?」



「もうどこにも行かないから、大丈夫。
だから離して平気よ。」


ずっと抱きしめられていて、身動きがとれなかったのだろう。



「あ、わりぃ…おめぇの顔みたら、つい抱きしめてた…

体、痛くねぇか?
強く抱きしめちまったみてぇだから」



「…ええ。大丈夫よ。」

顔を赤らめた灰原が言う。


「それにね…私、一人で頑張ろうとしてた。
だけど…あなたと2人して
アイツらと向き合っていきたい。」



「あぁ。2人でなら大丈夫さ。きっと―…」

そして俺達は組織の取引現場へと向かったのだった―。




2012/09/29






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