約束 | ナノ


 05




それからというもの、俺は「コナン」を演じ続けた。



   * * * 


あれから五年―…


俺は灰原に一度も連絡をすることはなかったし、あいつからも連絡がくることはなかった。

俺の携帯に懐かしい名前が出るその前までは―…



   * * *




          灰原 哀

件名:久しぶり
――――――――――――


こんにちは、元気にしてた?

ごめんなさい。
あなたに「約束を破るな」って
言ったのに
私から破ってしまったわ。



今回メールしたのはある情報を手に入れたから…
あなたに知らせたかったの。

勿論、その情報はアイツらの情報よ。

今、私達はある場所に居るの。

そこでアイツらの密会が行われるらしいわ。

場所と時間は特定できたから…
私達で突入する気よ。

ごめんなさい。

あの時した約束、もう一つ破ってしまうかもしれない。

いえ、かもじゃない…絶対よ。


場所と時間は秘密。
何故なら探偵お馬鹿さんは絶対に来るから。

怒らないでね。
私は、あなたを死なせたくないの。

さようなら。探偵さん。


――――――――――――




「ふざけんな―…!」


何が『組織の情報を掴んだ』だよ!

突入するって…無茶はするなってあんなに言ったじゃねぇかよ!


場所と時間は秘密って…意味わかんねぇよ!



「行くに決まってんだろ!!」


五年間分の気持ちが一気に吹っ切れた―



(約束守らねぇって…なんだよ!!俺は絶対に…そんなこと許さねー!!)





俺は灰原にメールを打った。




To : 灰原 哀
――――――――――――

連絡くれ!!


――――――――――――


短文なメール。

送信して、一分が経った―。



俺にとってその一分はどんな苦痛にも変えられないものだった。


そして、待ちきれなくなった俺は
無意識のうちにあいつの携帯に電話をかけていた―。




呼び出しの音の回数が増える毎に俺の冷静さを壊していく―…


(頼む…出てくれ!!)



そして、五年ぶりに聞いた。


あいつの、少し大人びた懐かしい声を―…







2012/08/13




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