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「灰原ぁ―っ!!」
灰原は眠ったように目を閉じたまま動かなかった。
ぐったりとその場に崩れ落ち、そのまま…
「死んだか。ウォッカ、次はこいつだ」
「へい。アニキ。」
そう言って、次は俺に銃口が向けられた。
「くっ…」
俺も死を覚悟し、目を閉じた。
灰原を守りきれなかった俺が生きているなんて…
それに、アイツがいない場所で生きる意味なんてない。
ジンが引き金を引こうとしたその時―…
「約束が違うじゃない、私を撃ったら彼は助けてくれるんじゃなかったの?」
「…?」
きっと、そこに居た三人ともが驚いただろう。
「お二人さん、お二人さん
あら、スッゴい間抜けな顔をしてるわよ。」
灰原の声が俺の耳に入った。
俺はすぐに目を開ける。
「なんで…灰原…」
するとそこには撃たれたはずの灰原が立っていた。
「私には仲間がいるって言ったでしょ
ほら、この探偵バッチが守ってくれたのよ
確率は少なかったけど…信じてみる価値はあったみたい 」
そう言って、灰原は探偵団バッチを俺に見せた。
「…なに?」
「アニキ!!こいつ…生き返りましたぜ!」
ジンとウォッカの二人も状況が理解出来ていないらしい。
「…なに言ってるのよ
生き返ったってことは私は一度、死んでるってこと?
はぁ…勝手に私を殺さないでくれるかしら」
「灰原…お前っ…」
「私は最低でも、あと五年は死んでも死に切れないわ。
あなたに言ってもらう言葉があるでしょ?」
灰原は俺にそう言って少しだけ微笑んだ。
「あぁ―…そうだったな」
ウゥー…ピーポー…
ピーポー…
「…っ?」
「アニキ!!この音はっ…」
「警察よ。私が撃たれて死んだふりをしている時に通報したの。
もうおしまいね。ジン…ウォッカ…」
「どうする?ジン。俺達を殺して逃げるか?
それも…出来ねぇんだろ?」
「ガキがアニキに何言ってんだ!」
「銃に入れられるのは六発。
お前は俺らに気付く前に手下のやつを二人殺した。
これで二発。
取り引きの時に二発。
そして…灰原に一発。
残りは一発。さぁ、どうする?」
2012/11/23