約束 | ナノ


 14



「灰原ぁ―っ!!」


灰原は眠ったように目を閉じたまま動かなかった。
ぐったりとその場に崩れ落ち、そのまま…


「死んだか。ウォッカ、次はこいつだ」

「へい。アニキ。」


そう言って、次は俺に銃口が向けられた。



「くっ…」

俺も死を覚悟し、目を閉じた。

灰原を守りきれなかった俺が生きているなんて…
それに、アイツがいない場所で生きる意味なんてない。



ジンが引き金を引こうとしたその時―…






「約束が違うじゃない、私を撃ったら彼は助けてくれるんじゃなかったの?」

「…?」

きっと、そこに居た三人ともが驚いただろう。



「お二人さん、お二人さん
あら、スッゴい間抜けな顔をしてるわよ。」


灰原の声が俺の耳に入った。
俺はすぐに目を開ける。


「なんで…灰原…」

するとそこには撃たれたはずの灰原が立っていた。



「私には仲間がいるって言ったでしょ
ほら、この探偵バッチが守ってくれたのよ
確率は少なかったけど…信じてみる価値はあったみたい 」


そう言って、灰原は探偵団バッチを俺に見せた。



「…なに?」

「アニキ!!こいつ…生き返りましたぜ!」

ジンとウォッカの二人も状況が理解出来ていないらしい。



「…なに言ってるのよ
生き返ったってことは私は一度、死んでるってこと?
はぁ…勝手に私を殺さないでくれるかしら」





「灰原…お前っ…」


「私は最低でも、あと五年は死んでも死に切れないわ。
あなたに言ってもらう言葉があるでしょ?」


灰原は俺にそう言って少しだけ微笑んだ。



「あぁ―…そうだったな」



ウゥー…ピーポー…
ピーポー…


「…っ?」

「アニキ!!この音はっ…」


「警察よ。私が撃たれて死んだふりをしている時に通報したの。
もうおしまいね。ジン…ウォッカ…」


「どうする?ジン。俺達を殺して逃げるか?
それも…出来ねぇんだろ?」


「ガキがアニキに何言ってんだ!」




「銃に入れられるのは六発。
お前は俺らに気付く前に手下のやつを二人殺した。
これで二発。

取り引きの時に二発。

そして…灰原に一発。


残りは一発。さぁ、どうする?」




2012/11/23



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