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私は工藤君の言った通りジンとウォッカの元へと向かった―。
「久しぶりね、ジン。私の顔を覚えてるかしら?」
「シェリーか…久しぶりだな」
「えぇ、シェリーよ。驚かないのね?
もしかして私が幼児化してることは組織は知ってたのかしら?」
あえて挑戦的な眼をジンに向ける。
そんな私の顔を見てジンは鼻で笑った。
「…まぁ、いいわ。そんなことを知っても何の役にもたたない。」
「お前から俺に会いに来るなんて珍しい。組織に戻ることを決めたか?」
ジンは不穏な笑みを浮かべる。
「だが…遅かったな。
組織にはお前よりも優秀な人物が入った。」
一枚の写真を見せられる。
幼い子供だ。
茶色のショートヘアーに白衣。
まるで昔の自分を見ているようだった。
「ほら見てみろ新しい薬だ。
強力な毒薬でお前の作った薬みたいに不完全なものじゃない。」
「そんな物、この世に出回らせない。
あなたはもう終わりよ、ジン。警察に捕まってもらう」
「まだ分からないか?
だからな、お前はもう必要ない。―死んでもらおう」
私はジンに拳銃を向けられた。
この手で何人もの人を殺して来たのだろう。
その中には私のお姉ちゃんもいる。
「あら、拳銃を向けるのね。
私も姉さんと一緒、あなたに殺されるのかしら?
ここで―…
姉さんがいる天国に行くのも
いいかもしれない。
だけど私には果たさなくてはいけない約束があるから
死ぬわけにはいかないの。
こんな最低な人生を送った私を
待っててくれる仲間−大切な人が私にはいる。
あなたと違って私は愛する気持ちを知ったから。」
「ふっ…愛だと?くだらない。
俺はお前を殺して生きる。警察に捕まる気もない」
「撃ってみなさい。
あなたが撃つと同時に私は警察に電話する。
私が死ぬのと警察が到着してあなたが捕まるの―どっちが早いかしら?」
そう言った瞬間
…ガタっ―!!
大きな物音がした。
「ウォッカ。こいつを縄で縛り上げろ
そして…隠れている生意気なガキを捕まえてこい」
2012/10/25