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「…あなたを信じるわ」
「おう。」
「一つだけ約束してくれ、俺をかばおうとか馬鹿なこと考えんじゃねぇぞ」
「でも―…」
灰原は何か他に言いたそうな顔をしていたが、奴らの到着によって遮られた。
「しっ!!静かに…組織の奴らだ。ジンとウォッカもいるぜ。」
遠くに見えるジンとウォッカの姿を目で追いながら俺は灰原に言った。
「こんなことさせたくねぇけど…」
「なに?躊躇ってないで早く言って」
コイツは…俺の気持ちなんか全く分かっていない。
俺がどれだけ心配してるのか、本当はここにだって来させたくなんかなかったってのに。
「灰原、お前は―…」
俺は深い溜息をついた。
「ジンとウォッカをおびき寄せてくれ
その間に俺はジンの子分達を倒す。
奴等二人と対決するにしても子分なんかに邪魔されちまう。
先に倒しておいたほうがいいと思うんだ…
そしたらすぐにお前の元に向かうから」
「分かったわ。」
「それと…お前はジン目の前で警察に電話をしろ。…出来るか?」
「ええ、分かったわ。任せて」
灰原の眼にはもう迷いは感じられなかった。
俺も迷ってなんかいられない。
「じゃあ…また」
「…おう」
俺達は自分の役目を果たすべく、それぞれの道を走った。
2012/10/22