ユメトビラ | ナノ

「 本音日和 」




とっつきにくい外見だけど、風宮くんって実は優しい人だと思う。


「おはよう」

「おう、…はよ」


わたしが挨拶すれば、ちゃんと返してくれるし。




『 本音日和 





「なぁ、俺がお前のこと好きやったら…アカン?」

そう言われたのは
親友の片思い中の人からでした。


「…うん…ありがとう」

「お、おう///」


君が頬を染めて照れる姿なんて初めてみた。


「でも、やっぱり駄目やん」

「…何で?」

「…わたしの親友がアンタのこと好きやから。」


親友のことを裏切るなんて考え、無かった。

裏切るなんて嫌だし。


「…なんやねん、それ。
分かったわ、お前は俺の気持ちなんぞ無視で
俺はお前の親友と付き合ってもらいたいんやな。」

「そんなことは…」


「ええわ、分かった。
何でこんなしょーもない女を好きになったんやろな」



そう言われた言葉は、わたしの心にぐさっときた。



…君のこと、本当は好きだったから。



「ちょっと待っ…」

言いかけてその言葉は止まった。


すっごい睨まれた。

咲斗はこっちを見るとわたしをじっと見つめ、睨んだ。


それから咲斗はわたしに冷たくなった。


「おはよう」

「…。」


「咲斗くん!おはよう」

「…おはよさん」


ぶっきらぼうだけど
わたしにはいつも挨拶してくれていたのに…
それが、親友に対してにかわった。


そう…かわっただけ。



一週間、それが続き
わたしは親友に聞いてみた

「風宮に…告白した?」

「えっ?そ、そんなことできひんよ!喋れるようになっただけ」



顔を真っ赤にして、女の子やなって思った。
本当に対照的で、わたしとは違ってちゃんと素直で。


わたしの勘違いやった。


「…ねえ」

「なぁに?」

「告白…してみたら?」


「えぇっ?!…無理やって」


「風宮と最近仲いいやん、あと一歩やで」


「うん…分かった。今日の放課後、告白する」


「…頑張って」


それしか言えなかった。



惨めだっていい、これでいいんだ。




2012/06/16

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