ユメトビラ | ナノ

「 窓側最後列 」 後編




「おう、菜乃か。」


理科室の奥の準備室。
咲斗先生の休憩するところみたいな部屋がある。

私は生徒やから理科室から咲斗先生と話をしてる。


理科室からでも準備室にいる咲斗先生の姿は見える。



授業が終わったから白衣を脱いでる。

そのかわりに眼鏡かけてるし…
めっちゃかっこいいやん!


「どした?俺の顔に何かついとる?」


「い、いえ!何もついてませんっ!」


「そんなに緊張せんでもええやろ。声、上ずってるで」


コーヒー片手に私の顔を見て
にやって笑うの。


…直視できません。



「あの…用事あったから、呼んだんですよね?」

「用事なかったら呼んだらアカンか?」



なんて返されて、私の頭はもうパニック状態。


「まぁ、聞きたいことあったからな。だから呼んでん」




「…なんですか?」




ソファーに座ってる咲斗先生が手招きする。


「そんなとこ立っとらんと、こっち来たらええやん」

「入っていいんですか?ここ、生徒入室禁止じゃ…」



「ええねん。この部屋使ってる俺が許可しとんねん、ええからはよ来い!」



うわ〜…
咲斗先生のこと怒らせちゃったかな?



「し、失礼します」



「ソファー座っとけ」

「はい。」


私のために咲斗先生はソファーを空けてくれた。
だから咲斗先生は近くにマグカップを置いて、壁に寄りかかっている状態。



「一応言っとくけど…俺、怒ってへんからな」

「えっ?」


「怒ってへんから。」

「あ…はい。」





「俺、よく勘違いされんねん。でも、そうゆうの慣れたからええねんけど。
でも…菜乃に勘違いされるん嫌やねん。」



「…えっ?」


ここに来て「菜乃」?!
呼びすてとか…もう、あの…えっ?!



ドキドキしちゃって言葉も出ない。




「なぁ…木野と付き合ってんの?」


咲斗先生は私の目の前まで近づいて、質問する。

ソファーに座っているから私は後ずさることも、逃げることも出来ない。



あ…もしや、咲斗先生の策略?
そんなことないよね。



「どうなん?ホンマに付き合ってんの?」


「あの…付き合ってないです。」



「…ホンマ?」

「嘘…ついても仕方ないじゃないですか。」



そう言うと、咲斗先生は何故だかほっとした顔をする。




「じゃあ、好きな奴とか居るん?」


「えっ?」


教師が生徒にそんなこと聞きますか?!

いや…あなたの前でなんか言えるわけないじゃないですか!


だって…私が好きなのは


「あなた」なんですから。






「…い、居ても言いません!」


「居るんや?」


にやっと笑う咲斗先生。



「じゃあ俺、言ってええ?」



急に真剣な顔する咲斗先生。
眼鏡外して、胸ポケットの中に入れる。




「俺、菜乃が好き」



…。




「えぇ〜?!ちょっ、それどういうことですか?」


いきなりのことに、私の頭はついて来れてない。
あわあわと焦ることしかできない。



「せやから、お前が好きやねん」


「だって…咲斗先生と喋ったことなんかほとんどないし。
先生、私のことなんか知らないんじゃ…」


「『だって』やあらへんやろ。知らんかったら呼び出しせぇへんわ」


「…そ、そうですけど」


「そんな慌てへんでもええやろ?
嫌いならフってくれてええんやし。まぁ、それはかなりへこむけどな。」



困ったように笑顔だけれど
笑顔を作って私を落ち着かせようとしてくれている。




「それで…どうや?」


「どうって言われても…」






―「俺のこと、好きなんとちゃうんかい?」








「なっ…なんで知って?@*?。!☆」


「最後のほう、言葉になってへんぞ」



「だって…!!」




「ほれ、言うてみぃ?お前の好きな人の名前。」



咲斗先生ってドSなん?




「め…目の前に居る人…です」


「…誰や?」




「…咲斗先生」



「よぉ言った。やれば出来るやん」


咲斗先生は私の頭を優しく撫でてくれた。






「それに…咲斗先生って呼んでくれてんねや。」


ドキッ―…




ソファーの背もたれに背をつけている私の両肩を挟むように
咲斗先生の手が私が動こうとするのを許さない。




「ちょっ…先生?」


「咲斗先生って呼んでくれへんの?」



咲斗先生の顔が近づいてきて、私は思わず目を閉じた。




ちゅっ。




「…っ///」


咲斗先生は私の頬にキスをした。




「ホンマはここにしたかったんやけどな。せやけど…」


そう言って、唇を指差される。


顔を真っ赤にさせた私に笑いかけてから
咲斗先生の声が耳元で聞こえた。



「キスしてしもたら俺の自制きかへんようになってまうから…
キスするんは俺ん家でな?」






「…///」



「準備室、いつでも来いよ?
菜乃は生徒やなくて俺の彼女やから入室してもええってことで。
他の奴に見つからんようにな」


「…はいっ///」


「タメ口でええやん」


「う、うんっ///」





理科準備室。

通いつめることになりそうです///




「あ、咲斗先生」

「なんや?」


「私が咲斗先生好きやって、誰に聞いたん?」

「木野やけど?」



「…裕?二人で私のこと騙したん?」


「裕言うな。俺、妬くで?
二人ん時は俺のことも咲斗って呼べや。」


「…えっ?」



「なに照れてんねん」




「咲斗…?」


「それでええ。」


ちゅっ。






先生と恋します。





END

2012/04/29



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