ユメトビラ | ナノ

「 ずっと 」


「おはよぉ。咲斗にぃちゃん。」


「おはよ。なに?咲斗にぃちゃんなんて珍しいなぁ。
小さい頃よく、そう呼ばれてたっけ。」


『 っと 




咲斗にぃちゃんは大学生。
幼馴染と言ったら少し年の差があるけれど
小さい頃から一緒にいるんだから、幼馴染。

高校生の私は、そんな大学生の幼馴染みの咲斗にぃの家に
住まわせてもらっています。



「今日も大学の講義早いの?」

「うーん。そうやねん…」

朝、起きてきた咲斗にぃに聞くと、
なんだか元気のない返事が返ってきた。
…眠いのかな?

咲斗にぃ、朝とか弱いし。



「どうしたの?なんだか元気ないね。」

「今日は家に居たい気分やねん。」



「サボり?仮病?咲斗にぃちゃんがグレた?」

「そんな人聞きの悪い言い方せんといてや。」

「だって珍しいじゃん!!
咲斗にぃちゃんが学校行きたくないなんて。」


まじめな咲斗にぃ。
そんなこと急に言われると、どうしたのかと思ってしまう。



「俺やって、そんな日くらいあるで?」


まぁ、そうかもしれないけどさ…




「本当に行かないの?」

「今日は行きたないなぁ。」


咲斗にぃは椅子に座って私の作った朝ごはんを食べる。



「行かなきゃ駄目だって!!
私だって今日は学校だし、家にいても誰も居ないよ?」





そう言うと「え?今日、学校なん?」と
目をまるくした咲斗にぃが私の方を向いた。


「そうだよ。今日は金曜日です。だからあと一日頑張ろ?
それに、お昼ごはんどうするの?
作れないでしょ?食べられないよ。」


「それは困るわ。お腹空くで。」


おなかがすくから困るなんて咲斗にぃちゃんらしいな(笑
これで大学に行こうって思ってくれたかな?




「そうでしょ?だったら―・・・」




「やったら、学校休んでや。」

「へ?無理だよ。」



「俺と一緒に居ってよ。」

「え?」


「今日は一緒に居りたい気分やのっ。」




「な、ええやろ?」って目で見つめられて
私は「うんっ」って頷いた。




「これからは、ずっと隣に居ってくれる?」

「…うんっ。」





「ほんで、美味しいご飯食べさせて?」


「え…それが目的?」


「ちゃうよー(笑
せやって、もう…菜乃は俺のもんやろ?」



「…よく恥ずかしいことが言えるねっ…///」



「おんっ。やって…」




ちゅっ。


「菜乃のことが好きやからに決まってるやん」


耳元で、咲斗にぃの声がした。



「私もだよ///」




…聞こえたかな?

私の隣で咲斗にぃはにっこり笑った。



咲斗にぃ。
そんなあなたが大好きです。


私も咲斗にぃとずっと一緒にいたい。



END




2012/04/13

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