「くるしみが告げる時間」
「…愛してる」
言われて心がくすぐったくなる。
そして、温かい気持ちでいっぱいになった。
「咲斗ちゃん、」
さっきまで優しく笑っていた咲斗ちゃんがわたしを抱きしめたまま動かなくなった。
抱きしめる手に力が入って苦しくなる。
「ん、咲斗ちゃん…苦しいよ」
嬉しいけど、恥ずかしくて。
でも、なんだか様子がおかしい。
「っ…う、ぁ…」
苦しそうな声。
「ねえ…どうしたの?」
顔を覗き込むわたしに彼は「アカン…俺から離れて」と、息を切らしながら言った。
「咲斗、ちゃん?」
「ええから早く離れろ!」
ビクッとするわたしに彼は「スマン、」と謝り
「…頼むから」
と寂しそうにつぶやいた。
彼の目は赤く、意識も朦朧としているようだった。
「、っはぁ…はぁ…」
「咲斗ちゃん…どうしたの?」
「時間…みたいやな、」
「なんの…時間?」
そう聞くと、信じられない言葉が返ってきた。
「…俺が消える時間」
2013/01/24
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