04 それは、幼馴染み「…なんでよ。そうやったら…何で大阪に帰って来ぃひんかったの?アタシに会いたなかったからとちゃうのん?」
和葉は泣きそうなくらい悲しい顔して俺のこと見つめよった。
「お前が変わってしもうてるんやないかって思ったらこわかったんや。ほんで…会いに行かれへんかった…」
情けないくらいアホな理由や。
「…俺かて家には帰ってん。言うても二、三回くらいやったけどな…お前には内緒で頼むってオトンとオカンに言うて、家には帰ってんねん。」
「なんで…アタシには教えてくれへんかったの?」
「俺の知ってるお前が居らん気がして…会われへんかったんや…スマン。どうせ会われへんのなら、何も言わんほうがええと思った。ほんま…スマン」
俺は和葉に頭を下げて謝った。
情けない俺を和葉はどう思うんやろうか…
そんなことはどうだってよかった。
ただ和葉には申し訳なくて、ただ謝ることしか出来ひんかった。
少しの沈黙のあと、和葉が口を開いた。
「アタシはずっと前から平次のことが好きやったよ。」
「えっ…?」
「高校生の時に自分の気持ちに気づいてからは特にね。…せやけど平次、アタシな?自分の中でケリつけたんよ。平次のことは好きやった。…でも、今はきっぱりと諦めもついてるんよ。」
ゆっくりとだが、和葉の気持ちが語られる。
俺への気持ちや、今の和葉の気持ち。
黙って聞いていた俺も口を開く。
「…俺のこと、もう嫌いか?」
自分から聞いておいて、答えを聞くのがこわいなんて。
情けなくて涙が出てきそうなくらいや。
そんなことない。今も好きやで、とその言葉以外は聞こえないように耳を塞いでしまおうかとも思うくらいに和葉の答えを聞くのがこわい。
「なに言うてるん?」
やっぱりお前は…俺の欲しい言葉だけをくれるんやな。
「大好きやで、平次」
そして、その言葉は嘘偽りのない言葉。
だからこそ…時には人をあまりに深く傷つける。
「平次は優しゅうて、アタシの大切な幼馴染みやん」
「…さよか、」
俺が今まで何回も使うてきた馴染み深い言葉やというのに。
幼馴染み、という言葉が妙にぐさりと心に突き刺さった。
2013/09/17
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