last up 2015/03/20


03 ポニーテール
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「また後でな。」


平次にそう言われ、別々の大学に進んでから一年が過ぎた。

あれから平次が大阪に帰ってきたことは一度もない。
愛想尽かされてしもうたんやろか…


平次から連絡も、電話も来ない日々が続く。
一週間に一回の遅いペースで送られてくる短いメールも今月は来なかった。


友達に相談したら「和葉にはもっとええ男が居る!」って言われてもうた。



「もう…諦めろってことなんやろうな…」


アタシは自分の想いを胸の奥にしまおうと決意した。



 * * *



…でも、こうやってポニーテールで東京に来てしまったのは
どこかでまだ諦めついてへんアタシが居たってことなんやろうね…


「和葉…」


そう名前を呼ばれただけで胸がチクリと痛む。
自分なりにケリをつけたはずやのに、平次の声がそれを許してはくれへん。



「もう、アタシに構わんといて…」

そう言うて掴まれている手を振り払おうとしたけど、平次の手は離れへんかった。




「俺がダメやねん!!」


急に聞こえて来た平次の大きな声にアタシは驚く。
平次の大きな声に驚いてびくっと体が揺れたのか平次はアタシに「スマン…」と謝った。


「…駄目やねん…俺が。」


すごく小さな声だった。


「お前が遠くに居るんも、本当は嫌やってん…
俺が知らん奴と喋っとるんやないか?俺以外の男に笑顔向けとるんやないか?って…
そう思ってまうねん…幼馴染みの俺に、とやかく言う権利はないって分かっとんねん。せやけど…嫌やねん。」




すごく久しぶりに平次の心を聞いた気がした。







2012/05/04


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