毎日は平和 | ナノ

 10 強く掴まれたその手に



「は?お前、何や?」


「俺達、この子と話をしてるんやけど。」


男達は俺を睨みつけ和葉と話を続けようとする。


こいつらええ度胸や。
俺を睨みつけるなんや…そう居ないで?


(お前らが睨んできたってなんとも思わん。俺のオカンや周りに居る人らと比べたら…)




俺はそいつらを睨み返してやった。



「スマンなぁ。こいつは俺の女なんや。手ぇ出す前に警告しとかな思ってな。」



俺自身もびっくりするくらいドスの聞いた低い声。
男達もそんな俺の声にびびっている様子や。


「お、お兄ちゃん達そういうことやから…ごめんな?」


和葉は男達を気遣い、声なんかかけとる。


「お客さん、ゆっくりしてってや?」


男達にそう言い、もう一度睨みつけてから
俺は客から見えない厨房の方へと和葉を連れて行った。



「…平次?」

周りから見えなくなった所で和葉が俺の名前を呼ぶ。


「なんや。」

素っ気ない返事を返すと和葉は小さく言った。



「…ごめん…」


「分かってんなら、あんなことすんな。」



「…ごめん…」



もう一度、和葉が俺に謝った所で俺は和葉の手を掴みクラスメイトに声をかける。



「なぁ、ちょっとこいつ借りてくで。ええよな?」



最初は驚いた様子だったが俺の思惑が分かったのか
一人の男子が俺に言った。


「ええけど、泣かすんやないでぇ?」


「アホ。誰がこいつ泣かすようなことすんねん!
そんな奴、俺が許さん!」


俺は和葉の手を掴み教室から出た。


二人が出て行った後…


(…遠山が泣く時の原因はほとんど服部のせいやろ)と
クラスメイトのほとんどが心に思っていたのは言うまでもない…。


  * * *


「ちょお…平次っ!痛いから、離してぇや!」


平次に引っ張られアタシは階段をおりる。


「離さん。」

平次はアタシの腕を強く掴んだまま、離してくれなかった。




2011/12/23






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