「寒いなぁ、平次」
「あぁ、外見てみぃ。雪降っとるで」
「え、ほんま?」
窓の外を覗き込み、目を輝かせる和葉。
「…子供やな」
「なんでよ、雪めっちゃ綺麗やで?外行かへん」
「なんでこない寒い日にわざわざ出かけなアカンねん」
「少しくらい付き合うてくれてもええやんかぁ」
「はぁ、分かったわ」
「ほんま?」
「あぁ、バイク出すさかい風邪引かんようにコートと手袋忘れんなや」
「うんっ!」
嬉しそうな和葉の笑顔を見て思う。
(今日はクリスマスやぞ。)
カップルがぎょうさん居て、もしかしたら一緒に歩いている俺らを見てカップルやと勘違いする奴も居るやろうに。
ええのか、と。
―「ええよ?」
(…なんて、思ってくれたら嬉しいけどな)
二人っきりでクリスマスを過ごせるだけでも、感謝せな。
ポケットに忍ばせてあるクリスマスプレゼントは後で渡そうと、俺は階段を下りた。
2013/12/26 Thu 15:42