Memo
Thu
透明な膜を張るように、小さな歪みが生まれればその距離はあっという間に開かれるものだ。

「おい」
「……」
「なあ、おい」
「……」
「和葉!」

「なんやの」

不機嫌そうな和葉の声が俺を黙らせる。ああ、これは。今回は長いで。
こうなったらこいつは中々折れん。喧嘩をしても次の日にけろっとしていることが多いけれど、これはあかん。特に俺が関わるとそうらしい。

「連絡くらいしてくれてもええやんか」

確かに。確かに待ち合わせに遅れた俺が悪い。冬の寒空の中、二時間待たせてもそこで待っていてくれるような幼馴染みはこいつくらいやろうとも思う。

それに、連絡せんことに怒っているのと違う言うて「心配するんよ」とか。
可愛いとか思うてしまうやんけ。やめろ、ぼけ。
2015/12/17 Thu 10:56



[Back]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -