最終決戦
『生徒会の優勝で幕を閉じようとしていた部費争奪戦でしたがここでまさかの大チャンス!』
『藤堂会長の粋な計らいのお陰で各部が一気に盛り上がっております!最終種目、借り物競争の勝者はいかに!そしてどの部が栄光に輝くのでしょうか!』
会長のアナウンスの後、今までにないぐらい盛り上がってる。
そりゃそうだよな。これで部費が決まるんだから。
借り物競争は足の速さとかはあんま関係ないと思う。
いかに引いたものを早く見つけて持ってくるかが勝負の決め手だ。
だからどの部も1位になれる可能性はあるはず。
「汰狼くーんっ!頑張ってなーっ!」
「絶対1位になってちょうだい!汰狼ちゃんならいけるわっ!」
そのお陰でプレッシャーが凄ぇよ。
勝ちゃ良いけど負けたら全責任俺にあるんだし…
いや、弱気になるなっ!リフォームの為にも絶対勝つぞっ!
「くそっ……怠ぃ」
スタートラインに向かってると低い声に舌打ちが聞こえた。
あまりに不機嫌な声に身構えちまったよ。
声の方に視線を向けたら案の定、清隆寺だ。
人前だから人の良さそうな笑顔で歓声に答えてるのにちらほら毒吐いてんぞこいつ…!
笑顔で毒吐けるお前は本当に凄ぇよ。
感心しながらスタートラインに立とうとして足を止めた。
今回は何故か床にどのレーンにどの部が立つか書いた紙が貼ってる。
気になるけど取り敢えず指示には従わないとな。剣道部はどこだ。
剣道部は1番端のレーンで隣は生徒会だった。
おい、不機嫌な清隆寺を隣に立たせるなよっ。
つか清隆寺が隣って緊張するだろ…!
「おい」
「はっ、はいっ」
悶々として頭を抱えてたら相変わらずの笑顔で話し掛けられた。
本当に皆よく見ろよ。こいつ目が笑ってねぇぞ。寧ろ殺意込もってんだろ。
そうだよな、本来なら優勝確定だったのに会長の思い付きで…
「さっきの二人一組は何だ。あ゙ぁ?剣道やってんだからもっと腕大切にしろよボケ」
「え…」
相変わらずの作り笑いに不機嫌な声なのに…も、もしかして心配してくれた、のか?
やべぇ、嬉しい。
「お、おうっ」
嬉しくて段々にやけてきたから慌てて顔を逸らした。
でもちょっと見たみたいで清隆寺が一瞬固まってた。
悪ぃ、そんなに気持ち悪かったか。
でもいつまでもにやけてられねぇよな!
よし、気合いを入れて勝つぞっ…
……って、会長は何してんだ?
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mokuji]