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「汰狼君、大丈夫かっ?…今回はお前に負けたんじゃない。汰狼君に負けたんだという事を忘れるな」
「はいはい」
高瀬を下ろして息切らしながら相変わらず不敵な表情を浮かべてる。
息切らしてる割には中原先生余裕だな。
高瀬は正座したままの俺をじっと見下ろしてふんって言って控えの方に帰っていった。
…まぁいっか。勝てたから気にするのは止めよう。
「汰狼、大丈夫かっ!あんな無茶しなくて良かったんだぞ」
「すんませんっ、どうしても勝ちたくて」
「まぁまぁ、汰狼、でかした」
心配そうな実熊さんに申し訳無くて肩を竦めてたら豹呀さんに頭を撫でられてパフェ券の束を渡された。
そうだパフェ券!!忘れてた!
やった、早速明日からパフェ食いまくるぞっ!
「汰狼君お疲れさんっ。めっちゃ格好良かったで!さすが俺のハニーやっ!」
「お疲れ。大丈夫か?念の為に冷やすか?」
「大丈夫。鷹嗣、獅希、ありがとな」
やっぱ勝った後だと嬉しくてつい締まりなく笑ってしまった。
また鷹嗣が可愛ぇだのって煩いけど気にしないでおくか。
ここで勝ったからまだ逆転出来る筈だ!
でもその考えは甘かった。
結局リレーに障害物競争、その他の競技も全部生徒会が1位になった。
5人、いや4人だけなのにここまで凄いのか。
特にやっぱ清隆寺の身体能力が凄ぇ。
余裕に作り笑いまでしてるし。
お陰で最後のプログラム、借り物競争で1位になっても生徒会が総合1位である事は確定した。
悔しいけど実は内心ほっとしてる。
借り物競争に出るのは俺だから。
しかも生徒会からは清隆寺が出る。
勝てる気がしねぇ。
ああでもやっぱ悔しい。
勝ちたかったしリフォームの夢が…
『ぴんぽんぱんぽーん!会長の藤堂だよぉ。えーと、最後に熱い戦いが見たいからぁ、今までのスコアは全部無しにしてー借り物競争で総合順位を決めたいと思いまーす。以上、お知らせでしたぁ』
呑気な声が会場に響き渡って一瞬シーンとした。
つか、何だ。
つまり、これで1位になれば優勝って事で…
「汰狼、頼んだぞっ」
「汰狼ちゃんはやれば出来る子よぉっ!でも怪我しちゃダメよ!」
実熊さんと虎威先生が期待に満ちた目で見てくる。
ま、まさかっ……嘘だろぉぉっ!!
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mokuji]