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スタートラインに向かう途中、横から小馬鹿にした言い方で嫌味な声が聞こえた。
虎威先生にこんな事を言う人はこの人ぐらいだ。
案の定、生徒会顧問の中原 牛椰(なかはら としや)先生が不敵な笑みを浮かべている。
しかも高瀬を肩に担いで。
なかなかシュールな光景だと思うのは俺だけか?
「てめぇ、先輩ヅラしていい気になんなよ」
「お前こそ、先輩は敬うものだと学生時代に習っただろオカマ野郎」
「じゃあ敬いたくなるぐらい立派になってみろよ飲んだくれ」
虎威先生が素に戻ってるだけじゃなくて口が悪い上に顔まで怖ぇっ。
さっき怒鳴り散らした時と比べもんにならないぐらい怖ぇよ。
化粧の所為で迫力が凄ぇよ。
2人のやり取りに唖然としていたら鋭い視線を感じた。
薄々気付いてたけどそっちに視線を向けたらやっぱり高瀬が俺を睨んでいる。
「な、なぁ。さっきか「気安く喋りかけるな」
…何か誰かに似てるよな、この高飛車な所。
でもこっちは明らかに悪意を感じる。
先生達が言い争いしてる中気にせずに高瀬は舌打ちをした。
「何でお前ごときが清隆寺さんに心配されるんだ。大体、お前が余所見して玉に当たっただけなのに図々しい。恥を知れ!」
……そんな肩に担がれたまま言わんでも。
そういや、高瀬は熱狂的な清隆寺信者だと聞いた事があるような…さっきから睨まれてるのはそれでか。
こいつには清隆寺と同室ってバレたら面倒臭そうだな。
「しかも同室だとっ!ふざけるなっ。お前なんかが清隆寺さんと釣り合う筈がないだろっ」
ああ、バレてたか。
可愛い顔でも目を見開いて威嚇されたらそれなりに迫力あるな。
ビビッちまったよ俺。
つか、分かってるって。
釣り合わないとか相応しくないとか。
清隆寺より小さくて可愛いお前の方がお似合いなんだからわざわざ俺にそんな事を言わなくて良いだろ。
それぐらいよく分かってんだよ。
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mokuji]