午後の部開始
『お待たせしました!只今より部費争奪戦、午後の部を開始いたします。実況は変わらず私、2年羽田野 麻狸と』
『3年、羽田野 麻狐でお送りいたします!さて、午後の部の第一競技、二人三脚……との事でしたが、藤堂会長の案により二人一組という競技に変更となります!』
『ルールは至って簡単!二人三脚に参加予定のペアでゴールを目指していただきます!ただし!お互いの体の何処か一部分がスタートからゴールまでの100m間、常に触れ合っていないといけません。離れた瞬間に失格!顧問と部員、仲良くゴールしちゃって下さい!』
会長ーっ!!
何勝手にルールに変えてるんだよっ!
いや、でも待てよ。
それなら手を繋いで走ったら良いんじゃねぇか?
二人三脚より走りやすいしいざとなれば虎威先生が俺を引き摺って走ってもらう事も出来る!
引き摺られたら痛そうだけど何とかなるだろ。虎威先生も馬鹿力だし。
この作戦いける!
そうと決まれば早速…
「いよっしゃぁぁぁぁあっ!!羊一でかしたわっ!汰狼ちゃんっ、こうやって走るわよっ!」
「はっ!?」
差し出した手を掴まれたかと思うと体がふわって浮いてあっという間に横抱きされてしまった。
今の状況に至った経緯が理解出来ねぇ。
何だこの状況は。
周りから羨ましいだの離れろだの何だのって凄ぇ声が聞こえてくるし。
何で今日はこんなに批難の声が集中するんだよぉっ!
あああ、胃がきゅうって…!
「外野は黙ってろ!こいつ走らせるよりこうやった方が早いんだよっ!汰狼の足の遅さ舐めんなっ!」
あまりに煩い観客の声にキレた虎威先生は俺を抱き抱えたまま素に戻って怒鳴り散らしてる。
キレてる内容が酷ぇけど事実だから言い返せねぇ。
足遅くてすんません…!
ああ、また俺の足の遅さを公言されてしまった。
「おい虎威、それならもっと他の方法があるんじゃねぇか?お前は相変わらず頭が悪い」
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mokuji]