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「汰狼ちゃん大丈夫っ?あの馬鹿野郎、俺の汰狼にっ…」
「虎威ちゃん、素に戻ってんぞ。つか事故なら仕方ねぇって」
やっと昼飯にありつける。
出迎えてくれた先輩は清隆寺の本性を知らないのか。あれ本当は事故じゃないっす。
戻ると虎威先生だけじゃなく皆心配してくれてた。
獅希と鷹嗣なんか怪我した俺を慰めようと役員に頼んで残ってるクリームパンを全部貰ってきてくれてた。
周りに恵まれて俺は本当に幸せだ。
「俺ならもう大丈夫っすよ。今は痛くないし甘いもん食ったら元気になりました」
「食べてる汰狼君、ほんま天使みたいやったわぁ」
「相変わらず大食いだな」
豹呀さんは呆れたように俺を見てぼそっと呟いた。
折角貰ってきてくれたもんは無駄に出来ねぇし美味いから気付いたらクリームパンを全部食ってた。
全部っつっても役員も食ったりしたみたいで6個だけだ。本来ならもっといける。
甘いのは別腹が常識!
「ほんと、甘いの好きだな。よーし、汰狼。次の競技はお前が出る番だろ?1位を取れたらこれをやろう」
「こっ、これは…!」
豹呀さんはにやにや笑いながらさっき受け取ったらしいパフェ券の束を俺の前にちらつかせた。
1位になったらパフェ券…!
これは何としてでも1位になるしかない!
食堂のパフェは高いけどマジで美味いんだよ。
それが1年分食えるならやる気も倍増するだろ。
「頑張ります!」
「おう。虎威ちゃんと頑張れよ」
俺が出るのは午後一発目の顧問との二人三脚。
虎威先生が他の部員と密着して走るなんて耐えられないという事で俺に決まった。
走るの遅いけど部費もかかってるから頑張るしかない。
これ以上生徒会と点差を開かれてたまるか!
打倒生徒会!
絶対パフェ券をもらうぞーっ!
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mokuji]