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清隆寺が立ち上がって歩き出すと俺も立ち上がって自然と少し距離を取って歩いた。
本当は薄々分かってたけど自覚したくなかったんだよ。
気付かずにずっと清隆寺に憧れてたら良かったのに。
気付いたところでどうにもなんねぇし。
何つーんだ?飴と鞭?
厳しいけどたまに優しいからぐっと来ちまったんだよなぁ…
「おい」
「うぉっ、はっはいっ!」
不意に声かけてくんなよっ!
ビックリしただろっ。
睨むな睨むなっ。
「テメェは何の競技に出るんだ?」
「え?」
「だから、何に出るんだって聞いてんだろーがっ!午前中まともに競技に出てねぇだろっ!さっさと答えやがれ!」
「ひぃっ!」
何でこれぐらいで怒鳴るんだよっ。
聞いてなかった俺が悪いけど改めて意識したら何つーか清隆寺見てたらぼーっとして…はっ!
今は早く答えねぇと。清隆寺の顔つきが怖くなってきてる…!
「あれだ、に「清隆寺さんっ!」
慌てて答えようとしたら高くて透る声に遮られた。
その声の主が清隆寺に駆け寄ってきて手を握った。
あ、羨ましい。
じゃねぇよ俺!つか何で俺が生徒会補佐である高瀬 揚羽(たかせ あげは)に睨まれてるんだ?
「なかなか帰ってこないから心配しましたっ。清隆寺さんは出場する競技が多いんだからしっかり休んで下さいっ」
「心配ありがとう。体力には自信があるから大丈夫。君こそわざわざ俺を呼びに来てくれなくても良いのに」
……何つーか、相変わらず変わり身早ぇよ。
さっきまでキレる寸前だったのに爽やかに笑ってる。
そういや清隆寺って出てる競技多いよな。
高瀬含めて生徒会は5人だけど実質4人で競技に出てるからか。
会長は結局パン食いにしか出ないらしいし。
大変そうだな。
「じゃあ、俺は戻るから君もちゃんと戻れよ。あと、玉当てて悪かったね。お大事に」
「お、おう」
ああ、高瀬の前では猫被ってんのか。
ご丁寧に俺にまで愛想笑いして清隆寺は生徒会の控え室の方に歩いてった。
別れる間際にまた高瀬に睨まれた気がするけど俺何かやったか?
まぁ良い。今は早く帰って飯だ。
腹減ったー。
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mokuji]