肉食系ラビット | ナノ


 


何でこのタイミングで鷹嗣の話題が出てくるんだ?
どういう関係って言われてもどうもねぇけど。

「あいつ、こないだ剣道部に入部したんだよ。運動神経良いしなかなか覚えも早く、て…」

取り敢えず鷹嗣の説明をしたら盛大に舌打ちされた。
よく考えたら質問の返答じゃねぇよな、これ。
どういう関係かって聞かれたんだから普通に友達って答えりゃ良かったか。

「付き合ってんじゃねぇだろうな?」

「……はぁ?」

「徒競走の時と言い玉入れの時と言い、随分仲良さそうだったしなぁ。名前で呼び合ってる仲じゃねぇか」

清隆寺はガタンって音を立てて椅子から立ち上がると俺の目の前にしゃがんで見据えてくる。
目が座って怖ぇよっ!
つか徒競走の事は忘れてくれっ!あれは豹呀さんがっ…。

「答えられねぇのか?黙秘は肯定と取んぞ」

睨んだまままた顔が近付いてくる。
その威嚇は止めろよっ!
ああああまたドキドキしてきたし顔も熱いっ!
何で平然としてられんだよっ!

「たかっ、鷹嗣はただの友達だっ!徒競走のあれはっ、先輩が言えっつうから考えずにメモ読んだだけでっ…それに友達を名前で呼ぶのは普通だろっ」

近い近いっ!
慌てて早口で答えたら鋭かった目付きが少しだけ和らいで離れていった。
清隆寺のどアップは心臓に悪い。
まだドキドキしてる。

「テメェはもっと考えて行動しろ…でも、あの関西弁はお前が好きみてぇだけどな」

「ああ、あれは部活中におもっきり面を食らわせたら気に入られたんだよ。鷹嗣の好みが分かんねぇ」

本当に何であれで惚れるんだよ。
目標に頑張るとかなら分かるけど惚れる意味が分かんねぇ。

「…何であんな奴まで名前で呼んでんだよ」

「な、何か言ったか?」

「あ?テメェなんざに惚れる奴の気が知れねぇって言ったんだよ。行くぞ、飯食う時間が無くなる」

「……おう」

それって、清隆寺からすれば俺には惚れるような要素がねぇって事、だよな。
一気に虚しくなってきた。
俺には剣道以外に取り柄ねぇもんな。
清隆寺に惚れてもらえるような要素は一切ねぇ。


そんな事分かってんのに何で、何で俺は清隆寺に惚れちまったんだ。


 


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