肉食系ラビット | ナノ


 


授業を受けたのは良いけど熱が上がっていく一方で授業どころじゃなくなった。
結局殆どの授業を寝て過ごした。
そしてあっという間に放課後。


「汰狼、保健室に行くぞ」

「うー…行きたくねぇ」

別に保健室に行くぐらいどうって事ない。
問題は保健室の住人だ。
元気な時に相手をしても疲れんのに風邪引いてる時に絡まれたら逃げ切れねぇ。
嫌がったところで獅希に手首掴まれてるから行くしかねぇけど。
気が重い。頭痛も酷くなってきた気がする。
溜め息を一つ漏らして引かれるままに保健室へと足を進めた。



「失礼します」

「いらっしゃあい。あら、獅希君。という事は…」

「…失礼しま「きゃあああああ!汰狼ちゃぁぁああんっ!アタシに会いに来てくれたのねぇぇぇっ!」


ほらやっぱり…!
すっごく無理した黄色い…いや、もう黄土色の声を上げたのは保健医の浅田 虎威(あさだ こい)先生。
俺と獅希が中学からやってる部活の顧問でオカマ。オカマって言っても見た目と普段の態度だけだけど。
そして何故か俺は気に入られてるらしくて毎度目が合うなり勢い良く抱擁という名のタックル噛ましてきた。
いつもなら無理矢理引き剥がすけど今日は無理だ。
力入んねぇー…苦しい。


「あらんっ!今日は抵抗しないのねぇっ。このまま食べちゃっていいのかしらー?」

良い訳ねぇだろぉぉぉっ!
中学の頃からこの人は冗談に聞こえないっつか冗談じゃねぇんだよな。
隙があれば本気で食おうとしてくる。
性的な意味で、な。
俺みたいな黒髪で締まった身体が好みなんだと。
この人のお陰でこの学園の特色に慣れたんだよな俺。
あー…顔近っ。
顔だけ見たら女に見えなくもねぇけど…化粧のお陰か?


「…ん?汰狼ちゃん、どうしたの?」

「こいつ、熱あるんです」

獅希が俺の代わりに答えてくれた。
ぶっちゃけ、もう限界。
頭ぼーっとするし。

「……馬鹿野郎。それをさっさと言え。汰狼、こっち来い」

「え?」

俺に来いとか言っといて軽々と横抱きする虎威先生。
俺、結構身長も体重もあんのに軽々!?
獅希もビックリしてるから!
とりあえず、真剣な時にしか男にならない虎威先生がこんな男前な行動してんだから真剣に診てくれんだろ。
流石保健医だ。一生徒が体調崩しただけでここまで真面目に診察してくれんのか。


「他の奴なら寝てろって追い返すだけだが、汰狼は俺の嫁だからな。診察料はキッチリ体で払えよ?」


真剣な筈なのに何言ってんだこの保険医は。


 


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