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何様俺様清隆寺様の命令を無視することが出来るはずも無く自分の皿と飯を用意して清隆寺の前に座った。
同じ食材を使った筈なのに全く違う皿だな。
清隆寺の皿は獅希が千切りにしてくれたキャベツを盛り付けたとんかつが乗ってる。
俺のはキャベツの上に揚げただけの肉。
せめてもって獅希が一口大に切ってくれた肉。
何とか目を細めたら豚の唐揚げに…見えねぇな。
恐る恐る清隆寺を見たら口許をにやつかせてる。
何だよその反応。
「食うぞ」
にやついてる清隆寺に身構えつつ両手を合わせていただきますと呟いた。
早速箸を持って肉を口に運ぶ。
…美味ぇ!
肉美味っ!とんかつ失敗しても美味いじゃねぇか!
良い肉だもんな。美味いに決まってるか。
ふと顔を上げたら清隆寺は何故か食ってねぇ。
何でだよ。
「なぁ、俺のとんかつは誰が作った?」
「んぐっ!」
あまりにもいきなり聞かれて喉を詰まらせた。
なっ、何で俺が作ってねぇって分かるんだよっ!
しかもまた不機嫌にっ…機嫌良くなったんじゃねぇのかよ!
「なっ、何で…」
「昨日肉を焼く事すら出来なかったやつがいきなりとんかつなんか作れるわけねぇだろーが。どうせテメェが作ったのはそのただの肉だろ」
何だよバレてたのか?
もしかしてにやけてたのは失敗したとんかつを見て笑ってたのか…!
「で?誰が作った?」
「し…的場君、です。隣の部屋の」
「アイツか。テメェと違って顔も良けりゃ料理も上手ぇのか。アイツなら何か入れたりしねぇな」
顔も料理の腕も悪くて悪かったな。
獅希の名前を出したら不機嫌そうな顔が和らいだ。
何かって何だよ。
獅希は毒盛ったりするようじゃねぇよ!
でも、清隆寺はそれを知ってるみたいだ。
まさか知り合いか?
獅希はそんな事言ってなかったけど。
「ま、まと「誰が発言していいっつった?あぁ?」
しまった。普通に口を利いてしまった。
すっげぇ睨んでる。
そういやさっきから見てたしそろそろ本気でキレられる。
もう大人しく食おう。
明日獅希に聞いてもいいしな。
「おい、料理下手なままだったらこれから的場に作らせるからな」
「!?」
獅希を巻き込む訳にはいかねぇぇっ!!
こうなったらやっぱ真剣に料理の勉強するしかねぇっ。
俺、料理出来るように何のかな。
出来なかったら獅希まで…ああ、胃がキリキリしてきた。
「しっかり頑張れよ下僕」
「頑張ります」
箸を置いて右手を上げながら情けなく呟いた。
そういや俺達、一緒に飯食うの初めてじゃねぇか?
出来たら初めて一緒に食う晩飯ぐらい楽しく過ごしたかった。
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mokuji]