肉食系ラビット | ナノ
Let's クッキング

 


「手始めに、このボウルに2合量ったから洗ってみろ」

「了解」

ボウルを受け取って中の米を凝視する。
米を洗うぐらい、俺にだって出来る筈だ。
そう意気込んで水をボウルに溜めて掻き混ぜて水を捨てたら米が一緒に流れてく。
えっ、米が…!

「タンマ」

空かさず隣から伸びてきた手がボウルを掴んだけど半分ぐらい米が流れてしまった。
どう水捨てたら良いんだ?
米研ぎってこんなに難しいのかよ…。

「わ、悪ぃ…」

意気込んだけど俺、肉焼くどころか米洗う事すら出来ねぇのか。
流石にヘコむ。
肩を落としてたら不器用な手付きで頭を撫でられた。

「お前が初心者中の初心者だったの忘れてた。これならいけるだろ」

幸いまだ綺麗な流しに散らばった米を集めた獅希が何かしてる。
手元を覗いたら米がザルに入ってた。

「これ、水が濁ればザル上げてボウルの水捨てろ。水は少し濁ってるぐらいが良い」


今の俺には獅希が菩薩とかに見える。
優しすぎるだろ。
これが清隆寺だったらって思うと怖い。
確実に埋められてた。

「分かった」

獅希の気遣いに感謝しながら米を何回か研いだ。
水を吸うから手早くって助言を受けて出来る限り手早く洗って米を炊飯器に移しスイッチを押した。
俺、米炊けた…!

「獅希、米炊けたぞ!」

「そんな早く炊けねぇよ」

そういう意味じゃなくて準備出来たって意味だったんだけどな。
俺だってそこまで馬鹿じゃねぇよ。
でも獅希に手助けされながらも用意出来たんだ。
今まで調理実習はテーブルを拭く以外の仕事を与えられなかった俺が。

「おい、早くとんかつ作るぞ。まず俺が見本見せるからメモ取っとけ」

「おう」

一先ず手を洗ってメモとペンを持って準備した。
また獅希の口許が微かに笑ってる。
俺は生き延びる為に必死なんだから笑うなよ。


 


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