肉食系ラビット | ナノ
ちょっとその前に

 


「そうだった」

豚パックをシンクに置いて手を洗っていたら思い出したように獅希がリビングへと姿を消した。
えっ、このまま俺を置いて帰らねぇよな?
獅希居ないとすっげぇ困る。
気になってずっと水を出しっぱなしの手を洗いっぱなしでリビングを見てたら獅希がエコバックを持って帰ってきた。
お前、主婦かよ!っていうツッコミよりお前、似合うなって気持ちになった。

「汰狼、これ付けろ」

「お?おぉ」

手を拭いて渡された白い物体を素直に受け取り広げてみたらそれはフリフリフリルが付いた真っ白のエプロン。
えー…。
思わず眉間に皺を寄せて獅希を見た。

「何これ?」

「見て分かるだろ。汚れるからエプロン。俺はこっち」

そう言って獅希は少し使い古した黒のソムリエエプロンを腰に巻いてる。
似合い過ぎてどっかの店に来た気分になってきた。
今はそんな事よりこっちのが問題だ。

「何で俺のはこんな女物なんだよ」

「白はこれしか無かったんだよ。お前はまだ料理初心者だから白帯改め白エプロン」


ああ、成る程。つまり獅希に認められたらエプロンが変わってくって事か?

「獅希、わざわざ用意してくれてありがとな」

納得してエプロンを付けながら獅希に視線を向けるとやたらと俺を凝視してる。
何だ?エプロンの付け方がおかしいとかか?
付け終えて獅希を見てたら微かに、本当に微かに口許に笑みを浮かべた。
そうか、俺があまりに似合ってなくて面白くて見てたのか。
もういっその事思い切り笑ってくれ。
その方が清々しい。
でも、獅希がこれ持ってるって事は獅希が買ったんだよな?この白のフリフリエプロン。
無表情の男前がエプロンを買ってる姿を思い浮かべて思わず吹き出してしまった。
普通は恥ずかしいだの何だので男が買ったりしねぇのにわざわざ用意してくれたんだな。
本当に良い親友を持った。
ここはしっかり料理が出来るようになって獅希にお礼しなきゃいけねぇな。


「よし、先ずは米を炊く所から始めるか」

「おうっ、宜しくお願いしますっ」

改めて頭を下げて早速料理を始めた。


 


[*prev] [next#]
[mokuji]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -