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まさか的確に当てられるなんて思ってもみなかった。
昨日の会話が聞こえてたとかか?
どうしよう。
獅希が気付いたのを清隆寺に埋められる…!
「あいつの信者には熱狂的で陰湿な奴等がいるからな。精神的に追い込まれる前に相談しろよ?あと貰ったからって何でも食うな。良いな?」
獅希の言葉に固まった。
成る程。
清隆寺絡みってのは清隆寺が関係してるって意味か…!
良かった。バレてなくて良かったけど。
俺、遠回しに何でも食う馬鹿だって言ってねぇか?
知らねぇ奴から貰ったもんとか食わねぇよ。……甘いもん以外。
でも珍しく本気で心配そうにしてる。
お前、本当に良い奴だな。
「違う違う。そんなもん食わねぇしまず何もされてねぇ。胃薬買ったのはその…これから作る自分の料理に備えて」
「は?料理?」
口許を押さえてた手を払い退けて取り敢えず安心させようと答えたら間の抜けた声が返ってきて思わず笑う。
食べるのを阻止されてたクリームパンを口に運んだ。
うん、美味い。
「そう。清隆寺が食堂で飯食うのは人目があって嫌だって言ってたから飯作る事にしたんだよ」
「……家庭科アヒルのお前が?」
過去の成績を言うな!
そういや家庭科はずっと2だったなぁ。
だから肉焼くだけも出来ねぇのか。
「清隆寺は作らないの?あいつなら料理出来そうだが」
「あー……当番制なんだよ」
俺、意外と嘘吐くの上手いかも。
獅希に嘘吐くのは良心が痛むけど真実を言えば全身と精神を痛めるから仕方ねぇ。
許せ獅希。
クリームパンを頬張り終えたらじっと俺を見てくる視線に気付いた。
何だろ…バ、バレたか…!?
「俺が料理教えてやろうか?」
「えっ、マジか!?」
まさかの申し出に思わず声を上げてしまった。
隣の奴が驚いて肩跳ねさせてる。
悪ぃ。
でも、獅希に料理を習えるなら有り難い。
いつも家庭科で俺の失敗をフォローしてくれてたから料理の腕前も分かってる。
獅希はかなり料理が美味い。
特にこいつが作る菓子はそこら辺の洋菓子店より美味い。
これで清隆寺に殺されなくて済む…!
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mokuji]