持つべきものは何とやら
「はぁ〜…」
結局昨日は晩飯前まで説教された。
主に俺がいかに馬鹿か、とか目付きが気に入らねぇ、とか精神的に疲れる説教だった。
寧ろ説教じゃなくて悪口じゃねぇか。
んで、晩飯作れって言われて遂に料理が出来ねぇのをカミングアウトしたら今日の晩飯までに料理出来るようになれって言われた。
無理だろオイ。
取り敢えず、今日から学校が始まって助かった。清隆寺は中学からの持ち上がり組だから自動的に1年から生徒会役員だ。
これから忙しくなぁれ…!
今は学園内にあるコンビニで大量の菓子パンと新商品の菓子と牛乳と胃薬を買って教室へと向かってる。
コンビニっつっても24時間開いてるスーパーみたいなもんで薬剤師の人が居るから薬も置いてる。
ほんとに便利だ。もう確実に胃が参ってる。それに晩飯までに自分で料理練習して味見とかしなきゃいけねぇし。
胃薬いるだろ絶対。
「汰狼、はよ」
教室に入ろうとしたら名前を呼ばれて振り向いたら親友の的場 獅希(まとば しき)が直ぐ後ろに居た。
「うわっ。いきなり後ろ立つなよっ」
いつの間に居たんだよ。気付かない程今、弱ってんのか…。
「汰狼、朝の挨拶は?」
「ああ、おはよ」
ちゃんと挨拶したら満足そうに教室へと入ってく獅希に続いて中に入った。
最初の席は出席番号順で決まってる。俺は宮野で獅希が的場だから自然と前後になった。間に誰も居なくて良かったと密かに思ってたりする。
「汰狼、朝から買い込んでるな」
机の上に置いてる袋を漁りながら話し掛けてくる。
それ、俺のなんだけど…まぁ良いか。
早速クッキーを食い始める獅希が不思議そうに胃薬の瓶を持ってる。
「お前胃壊してるのか?何でこんな甘いのばっかり買うな甘党。胃に優しいもんにしろ」
瓶を置いて眉を寄せて見てくる。
お前は本当に優しいよな。今、人の優しさに飢えてるから泣きそうだ。
「壊してねぇよ。これから壊す予定だから」
主に精神的な攻撃の所為で。
それは言えねぇからそう答えてクリームパンを頬張ろうと口を開けたら骨張った手で塞がれた。
獅希、邪魔すんな。
「それ、どういう意味だ?これから何かあるのか?」
さっきと同じように眉を寄せてるけど確実に怒ってる。
心配してんだろうけど声からしたら怒ってるよな。
「もしかして、昨日清隆寺絡みで何かあったのか?」
獅希、鋭いな。
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