肉食系ラビット | ナノ


 


「何だ?こんな誘うように腰を強調した服着て…やっぱ俺様に犯されたくなったか?」

誘ってねぇよっ!
俺が持ってる服は大体こんなんなんだよっ!
言いたいけど言えねぇっ!
そうだ、見たら良いじゃねぇか。
目付きが気に入らねぇとか何とかで視線を合わせたら何回か危機を免れた気がする。
これしかねぇ!
淡い期待を抱いて清隆寺を見たらいつの間にか近い。
目がっ!目がヤベェ!
しかも腰を鷲掴みしてるっ…!
もういい!この際横暴なままの清隆寺でも良いからその目付きを何とかしろっ!
って意味を込めてただ見つめるだけじゃなくてちょっと睨んでみた。
今まで睨んだ事ねぇから分かんねぇけど、睨むって眉間に皺寄せたら良いんだよな?
少しずつ眉間に力を込めた。


「あ゙ー…今はそのムカつく目付きも興奮する。泣かせてぇ」

……は?
そこは気分削がれるとこだろ。
何だよ。ムカついてんなら諦めろってマジで!
腰を掴んでる手が地味に力加えてきた。
内臓が口から出そう。

「テメェ…鎖骨も綺麗じゃねぇか」

吐息混じりに囁いた清隆寺の頭が鎖骨に近付いてくる。
息が掛かって小さく震えた。
ああ、無理。限界。


「ぎゃぁぁぁぁぁあっ!この腰フェチぃぃいッ!!」

パニクった俺は訳の分からん奇声を発して清隆寺の肩を掴んで引き離した。
清隆寺は抵抗されると思ってなかったのか意外とあっさり離れた。
良かった!本当に良かった!離れた!
もう安堵感で目に涙が溜まってる。

「ぷっ…はははははっ!」

「え?」

急に清隆寺が盛大に笑い出した。
何だよいきなり。驚いてビクッてしたじゃねぇか。
あまりに笑う清隆寺が怖くて肩を掴んでた手を離すと逆に掴まれた。

「はぁー…俺がテメェごときに本気で手を出すと思ったか?」

「え…」

「バーカ。演技だよ演技」


つまりは、俺の反応を見て楽しんでいたという事か?
何か一気に疲れた。
お前、演技上手ぇな。本気かと思った。
よく考えたら腰が好みってだけで清隆寺が手を出してくるはずねぇよな。

「おい、下僕」

疲労感から放心状態になってたらさっきとは違って低い声。
地味に俺の手を握る力が増してる。


「そこに座れ」

ああ、また説教されんのか。
今回ばかりは理不尽じゃねぇか?
俺、悪くねぇだろー…
今日会ったばかりだと言うのにもう正座が習慣になりつつある。
あー…腹減ったなぁ。
そんな事を思いながらまた何時間も説教を受けた。


 


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