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『ご主人様、寒いんですか?…ナツキの体で暖まってください』
珍しく風邪を引いた俺を心配してくれるナツキちゃん。
汗を拭いたりおでこを冷やしたり色んな世話をしてくれる。
そして俺が寒いって言ったら服を脱いでそのまま…
そんな看病されたら俺直ぐ治っちゃうねっ!
でももっとナツキちゃんの体で暖めてもらいたい…!
おおっと、戻ってこーい。
一瞬意識飛んだ。
えーっと、今の現状はね。
ほっぺにヒヤッとするものを当てられたからてっきりナイフかと思ったんだよ。
寝込みを殺られると思ってたから。
でも感触が違うなーって思って目を開けて横目で見たらタオルに包まれた氷のうだった。
あるぇー?
俺が予想した展開と違う。
恐る恐る見上げたら見下ろしてくる雨宮。
お前、こんなにイケメンだったのか。
初めてまともな顔を見た気がする。
てか、何なのこの展開?
そういやご主人様って…あれ?
「すみません…ご主人様っ、俺も殴って下さい!」
「あ、の…え?」
データ処理が追い付かないぞーっ。
ご主人様って俺?
てか何で俺が殴るの!?
無理無理!絶対痛い!
殴られた方じゃなくて俺がねっ。
殴った衝撃で腕ポキッていっちゃうと思うんだ俺。
「俺、思い切り殴ったし…」
「い、いいよっ。それだけ蓮が好きなんでしょ?仕方な…」
しまった。
ここで蓮様の名前出しちゃ駄目だった。
雨宮が俺をガン見してる。
多分今この瞬間まで、雨宮は蓮様の事忘れてたよね?
思い出してそうだったぜコノヤロー!とか言って殴られたらどうしよう!
俺のバカぁぁぁぁ!!
「確かに蓮を好きでした。人を見下す瞳、傍若無人な振る舞い、完璧な女王様でした。でも…」
蓮様ってそんなキャラなの?
そしてお前、それでよく好きになったなぁ。
SとMの関係だもんね。なるほどな。
大人しく雨宮の言葉を聞いてたら急に手を掴まれた。
何をされるのか分からなくてビクビクしてたら手の甲にキスされた。
「でも、今は貴方しか考えられません。俺の女王様でご主人様は貴方だけです」
「……え?」
あれ?諦めてた雨宮ルート達成?
てか、それって俺の方が蓮様より傍若無人って事?
素直に喜べない。
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mokuji]