声に乗せて | ナノ


 


「んっんっ、んー…」

食べる前は意気込んだけど、これって肺活量の問題じゃない気がしてきた。
飴を口に入れたら直ぐに徹の唇が重なった。
今度は閉じてた俺の唇を開かせるように強引に舌が侵入してきて自由気ままに動いてる。
徹にも舐めやすいようにって口の中で転がしてみたのに気付いてないのかな?
さっきから徹の舌が歯をなぞったり俺の舌を絡め取ったりしてる。
それ飴じゃないから。俺の舌だよっ。

「ふっぅ、はぁっ…」

「可愛い…」

息吸い込んだって直ぐに苦しくなってきた。
それなのに徹はそんなに苦しくなさそう。
可愛いとか余裕そうに言ってるし。
何が可愛いのかとか分かんないよ。
もう立ってるのも辛いぐらい膝に力が入らなくなってきた。
壁に体重を預けながら徹にしがみつく。
流石にここの床に座り込むのは嫌だ。
徹は気付いたのか蓋をした便座に座らせてくれた。
これは有り難い。

「ん…燈瑪、まだ飴残ってる?」

「はぁっ、はぁっ…んー…」

何か余裕な上に徹の口許がその…卑猥だ。
唇が飴混じりの唾液で濡れて艶やかというか…何考えてんだろ俺。
酸欠で思考がおかしくなってきちゃったかな?
徹の質問に答える余裕が無いぐらい息が上がっちゃってるから舌を出して上に乗ってる飴を見せた。
徹がちゃんと舐めなかったし俺が舐めるのも邪魔したからまだ結構残ってる。
さっきまで苺味だったのに今はレモンの味しかしない。
舌を出したまま徹を見上げたら顔が近付いてきた。
もう反射的に瞼を下ろす。
これはキスじゃない。飴を舐めてるだけだ。
そう言い聞かさないと色々とヤバイ。

「んっ…んんっ!?ふっ、ぁっんんっ!!」

色々ヤバイって言ってんのにっ!
さっきまでも結構深く重なってたのに加えて荒く唇が重なる。
思わず体を引こうとしたらトイレのタンクに押さえ付けられるし逃げられないように徹が両手で俺の頭を掴んでる。
落ち着いてっ、落ち着いてっ!
徹の肩を叩いてもびくともしない。
そんなに力強くないし今力入らないもんね。
もう肩叩くどころか縋るように肩掴んでる。
さっきより大きな水音が、徹の吐息に俺の声が響く。
恥ずかしい。いやそれ以上に事態は深刻だ。
唇が離れないまま徹が密着して俺の脚の間に体を割り込ませる。
丁度、膝が当たった。

「んんっ!」

「……燈瑪、気持ち良かったんだ?」


もうこのまま口塞いでてよ。
笑みを浮かべて俺の顔も覗き込まないで。今絶対真っ赤だから。
徹の膝が小刻みに振動を与えてくる度に腰が跳ねる。
徹の膝が当たってんだから俺のナニが勃ってるぐらい気付いてる、よね。
恥ずかし過ぎて死にそう。


 


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