声に乗せて | ナノ
甘い飴

 


俺の唇と徹の唇が重なってる。
これってキスじゃないの?
確かに徹は飴舐めてるけど。
心無しか徹の唇が甘くなってきた気がする。

「燈瑪、ちょっと口開けて?」

「んっ、うん…」

吐息が掛かる距離で話さないで!
キスはもう気にしないけどこの距離感は恥ずかしい。
とにかく徹に言われた通り口を開けた。
どれぐらい開けたら良いか分かんないからちょっとだけ。

「燈瑪…」

今度は明らかに熱っぽい声で呼ばれてまた唇が重なる。
俺が口を開けたからさっきよりも深く重なってる。
やっぱり徹の唇があの飴の苺味だ。
甘いなぁって思ってたら口の中に飴が押し込まれた。
それと一緒に徹の舌も入ってくる。
ちょっ、ちょっと!?

「んぅっ、んっ…はぁっ…」

もう頭の中パニックで徹の腕を掴む。
だって舌がっ。
俺の口の中で徹の舌が器用に飴を転がしてる。
たまに俺の舌を絡め取ってちゅって吸われて…
何か、フワフワする。
桜慈とキスした時みたいな…
でもあの時よりも甘い苺の味がする。
膝の力が抜けそうになって後退って個室の壁に凭れた。徹の舌が動く度に水音が立って恥ずかしい。
放課後だからか周りは本当に静かだから余計水音が鼓膜を震わす。
これ、キスより恥ずかしい。
息苦しくなってくると徹は唇を離した。
そして俺が酸素を吸うとまた唇が合わさる。
それを繰り返してたらお互いの唾液が絡まって飴が無くなってきた。
ついでに涎垂れてるんだけど俺。
ちゅって音がして徹の唇が離れて垂れた唾液を舐め取ってる。
甘いと思うけどそれ俺の涎…!

「はぁっ、はぁっと、徹っ…」

荒れた息を整えながら徹を見たら余裕な感じで自分の唇舐めてる。
なっ、何か悔しい…!
俺、肺活量ならあるよっ。
ただ不意打ちだったから十分に酸素を取り込んでなかっただけで…!

「可愛い…」

徹が何か言ったけど今呼吸を整えるのに必死だから。
壁に凭れたまま深呼吸を繰り返してるとまた目の前に包みが。
さっきと同じ飴の、今度はレモン味。

「燈ー瑪、もっとご褒美頂戴?」

あれ?何か目が据わってない?
ご褒美と言われたら断れない。
よし、こうなったら次はリベンジだ。
俺の本領を発揮してみせる。
俺が頷くのを見て徹は包みを剥がして今度は俺の口に飴を押し込んだ。


 


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