声に乗せて | ナノ
もっと頑張りましょう

 


新入生歓迎会の日から桜慈に会わずもう金曜日だ。
いつもなら水曜か、遅くても木曜に会いに来てくれるのに。
徹と居る所を見られた上に桐野にバレた事を気にしてるらしい。
電話とかメールで連絡は取ってるけど…会えないのは寂しい。
中学の頃に比べたら会えてるのに…欲張りになったな。
最近桜慈がちゃんと元気にしてるかばっかり考えてた。
それが原因であり、言い訳です。


「ひっどい点数だな。燈瑪ならもっと取れただろ」

「んー…」


昼休みに帰ってきた実力テストの結果を桐野が覗き込んで驚いてる。
俺もこんな点数に驚いてるよ。
最近授業にも身が入らないし…だって癒しが…


「あーあ。この数学の点数なら再試だね」

「えっ!いつっ!?」

「確か来週の金曜の放課後…あぁっ!来週の金曜、いよいよkhaosの復活ライブなのにどうするんだよ!」

「えぇっ!?」

えっ、来週ライブだったの!?
それならこないだの練習の時に言ってほしかった…!
いやそれよりも追試だ。
放課後に追試なんかしてたらライブに間に合わない。
俺は直接会場に行かないでアキからテラヘルツ波というやつを使って映像を送ってもらって自分の部屋で歌うんだと思うけど…間に合わない。
発声練習とか準備してたら絶対間に合わない。

「ひ、日にち変えてもらえたりしないかな?」

「燈瑪、数学はあのよしみちゃんだよ?無理無理」


そうだった。
数学はこのクラスの担任でもある高田 由美(たかだ よしみ)先生だ。
女の人っぽい名前だけど美人な男だ。
しかも少し…かなり容赦無い。
俺が日にちを変えてくれって言ったところで絶対変えてくれない。
勉強しなかった馬鹿が悪いとか勉強できない奴が図々しいとか…そんな事を言われるに違いない。リアルに想像できる。
…勉強しなかった俺が悪いんだけどこれは譲れない。


「ダメ元で放課後に頼んでくる」

「頑張れよ。んで行けるなら一緒に行こうな。あーっ、早く姫の歌声が聴きたい!」

桐野は自分の弁当を抱き抱えてうっとりし始めてる。
取り敢えず桐野の姫語りは無視して理由を考えなきゃ。
あと桐野ごめん。何があっても一緒にkhaosのライブは行けないよ。


 


[*prev] [next#]
[mokuji]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -