声に乗せて | ナノ


 


そうだよな。そこ気になるよね。
危険を冒してまで白薔薇に忍び込んでるんだし。
でも流石に生BLが見たいからとは答えにくい…。

「それは…燈瑪に会いたいから」

「えっ」

桜慈の返答に俺が1番驚いてしまった。
そうだったの…?
どうしよう。それなら嬉しい。
俺の反応に桜慈が唇を尖らせてる。可愛い。
桜慈から離れて顔を覗き込むように見つめた。

「ほんと?」

「ほんと!そりゃ白薔薇内の恋愛も見たいけど…1番の理由は燈瑪に会いたいからだよ。やっと会える距離に居るんだもんっ。燈瑪が居なかったらこんな事してないよっ」

「桜慈…」

じっと見つめてくる桜慈の言葉に涙が出そうになった。寧ろ嬉し泣きしたいぐらいだ!
中学3年間も会えたけどたまにだし紅百合は門限が厳しいからあんまり長く会えなかった。
こうやって手料理を食べさせられるのも少なかった。
桜慈も寂しく思ってくれたのかな。
それなら嬉しいな。



「なぁ、ちょっと待って」

「ん?」


桜慈に手を伸ばして優しく撫でてたら桐野がじっと俺を見つめてくる。何聞かれるんだろ。
美形がそんな真剣な顔されたら迫力あるって。

「橘…お前、名前は燈瑪なのか?」

「へ?う、うん。そうだけど…知らなかった?」

「知らなかった!」


ソファーから降りてきた桐野が肩を思い切り掴んでくる。
ちょっと痛いんだけど。
俺の名前知らなかったんだ。確か入学した時に皆自己紹介したはず…影薄いから印象に残らなかったのかな。


「姫と一緒じゃんか!」

桐野はやたら目を輝かせてるけど俺は多分青ざめてる。
一緒も何も同一人物なんだから当たり前なんだけど…どうしよう。
桐野は変に鋭いしバレたりしないかな。

「なぁ、俺も燈瑪って呼びたいっ!だって姫と一緒なんて凄いって!khaosファンでまさかこんな偶然があるなんて!」

偶然じゃないんだけど。
感極まって抱き着いてくる桐野越しに見えた陵が何か不機嫌そう。

「別に良いけど」

「やった!」

それぐらいの事で嬉しそうだなぁ。
姫狂だとこんなに喜ぶものなのかな?
寧ろお前みたいな平凡が姫と同じなんて笑わせんなとか思わないのかな。


「ただし、生徒会の前では呼ぶなよ」

陵の言葉に桐野は不思議そうにするけど頷く。
そっか、桐野みたいに会長が名前に反応されたら困る。

「あと、僕の事も黙っててくれる?」

「勿論。話したりなんかしたら白桜さんも燈瑪も困るしな」


早速嬉しそうに名前呼んでる。
本当に姫狂は凄いなぁ。
これだけの事でこんな良い顔するのか。



「じゃあ、僕はそろそろ帰るよ」

「白桜さん帰るなら俺も帰ろっかな」

玄関へと向かって2人を見送りに行く。
謎は解決したし、バレたのが桐野で良かった。
他にも事情を知ってる人が居ると心強い。


「桜慈、もう見つかるんじゃねぇぞ」

背後から陵に抱き着かれながら2人を見送った。
桐野がやたら俺達を見てた気がするけど…まぁいっか。


「陵ありがと。アキに頼んでくれたんだろ?」

「まぁな」

情報を弄るなんて事が出来るのはアキしかいない。
アキに取ったらこの学園のセキュリティシステムを弄るぐらい一瞬で出来そうだし。
ほんと、身内に恵まれて良かった。


「燈瑪、飯」

「はいはい」

陵を押し退けてキッチンへと向かった。
簡単な物にしよっかな。


 


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