声に乗せて | ナノ


 


何と無くソファーに座る桐野の前に正座してる。
隣で桜慈も同じように正座して俯いて素直に答えてる。
それなのに何で陵は桐野の隣に座って同じように見下ろしてくるんだよ。
陵はこっち側だと思うんだけどっ。


「えーとつまり、貴方は白桜さんで、橘とは双子の兄妹で、白の王子様って事?」

「はい」

「じゃあ、吉川先輩と腹違いの兄弟っていうのは…」

「嘘だ。俺らはただの幼馴染みだ」


桐野が陵に視線を向けて質問してるけど桜慈は静かだ。
2人の距離はいつもの桜慈なら萌えそうな距離なのに大人しい。
気にしてるのかな。
手を伸ばしてあやすように頭を撫でたら強張ってた桜慈の顔が少し綻んだ。


「あれ?でもさっき白桜さんはお姉さんしか居ないって言ってなかった?」

「あ、それ、俺も気になるんだけど…」

撫でる手を止めて桐野と同じようにじっと桜慈を見つめる。
そうだよ。白の王子様が桜慈ってバレた事もだけど俺の妹じゃないって方も一大事だ。
これは譲れない。


「そいつがうっかり転校生なんかに見つかった上にその現場を書記に見られたから知り合いに頼んで桜慈の身元を弄ってもらったんだよ。転校生が絡んだら絶対生徒会が動くからな」

「中学の頃から交流がある生徒会なら髪の色が同じ僕を疑うと思ったんだ。だから身内を全員弄ってもらったの。顔は化粧で変えてるから流石に女の僕だって気付かないだろうし」

「うん。俺もまだ貴方が白桜さんって信じられないから大丈夫だと思う」


そうだったのか。
まさか生徒会の書記の人に見つかるとは…生徒会に証人が居たら動きやすいよね。
案の定、生徒会は桜慈に気付いて身元を調べたし。
あれ、もし身元を弄ってなかったら生徒会長は俺の名前に反応したんじゃない?
おまけにいとこに帝の名前があれば確信すら持ったかもしれない。
危なかった…!

「ごめんね…?」

「そんな事情なら仕方ないよ。次から気を付けてね」

眉を垂らして申し訳なさそうに桜慈が覗き込む。
桜慈は笑ってる方が似合うのに。
正座を止めて優しく抱き締めた。
でも次はあるかなぁ。



「で、白桜さんは何で忍び込んでんの?」


 


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