声に乗せて | ナノ
身辺調査

 


「橘、ちなみにあれが親衛隊総取締役の南野 勝海(みなみの かつみ)だ」

「へぇ…男前だね」

「抱かれたいランキング3位だからな」

「じゃあ桐野より上かー…納得」

「おい」

納得したら何故か裏手でツッコミを入れられた。何で?ボケてないのに。
あの人が総取締役かー。
どっかで見た事あるような…思い出せない。

「徹はホントに食べ方が下手だなー」

「何だよ勝海っ!子供扱いは止めろって!」

「ちょっと、2人の世界に入らないでよっ」

寧ろ3人の世界に入るな。
絶対何人かそう思ってる筈。
少なくとも徹の側に居る陵は思ってる筈だ。


「お前ら煩ぇ」

「あ、仁志っ。お前もオムライス食うか?」

「今は紅百合の会長に話があるからいらねぇ」

一際通る声が聞こえて徹以外が黙った。
あの人は知ってる。会長だ。
桜慈に話ってまさか…

「おい、橘。相変わらずじゃねぇか」

「北出様も相変わらず、お元気そうで」

「社交辞令は良い。用件に入るが今年度になってからうちの学校に謎の男が現れるようになってな…そいつはアンタと同じ薄桃色掛かった金髪らしいんだよなぁ」



「それが何だと言うのですかっ」

「そんな事、白桜の君が存じている訳ありませんわっ」

まさかいきなり確信を突いてくるとは。
紅百合の人達が非難の声をあげてるけど確実に白桜さんは存じてるよ。
寧ろ本人だし。

「それで、北出様は何をおっしゃりたいのでしょうか?」

「アンタに兄貴または弟はいるのか…って聞きたいんだよ」


良かった!桜慈ってバレてない!
流石に桜慈が王子様とは思わないよな。
でも、ヤバイぞ。
ひっじょうにヤバイ。
桜慈の兄貴なら此処に居る。
別にそれをバラすぐらいこの際どうって事無い。
でも、会長にバレたらヤバイ。
会長が探してる姫が俺だとバレたら更にヤバイ。
姫が平凡な男だと分かったら恋心もあっという間に冷めてキレるってあの人。
帝の跡継ぎなんだから絶対短気だ!


「そんな事、貴方なら私に尋ねる前に調査済みではなくて?」

「まぁな」

嘘!?
じゃあもう俺の存在バレてるの!?


「橘、顔色悪いぞ?」

「え?あ、ははははは」

「笑い方怖っ」

もう覚悟を決めるしかない。そう思ったのに桜慈の言葉に耳を疑った。


「北出様が調べた通りです。私には姉なら居ますが男兄弟は居ませんわ」

「らしいな。しかも一族も同年代の男は見当たらなかった。ただ確認を取ったまでだ」


今、何て言った?
男兄弟が、居ない?
調べた上で男兄弟が居ないって、じゃあ俺は何なんだ?


 


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