声に乗せて | ナノ


 


陵の声を遥かに上回る大声が会場内に広がると辺りがシーンとする。
あれだけおっきい声出したら近くに居たら一溜まりもなさそう。
紅百合の生徒達も静かになって白薔薇の方を見てる。
しかもあまりにおっきい声だったからか人集りが後退りしていて桜慈が見えた。
ああ可愛いっ!やっぱり桜慈は可愛いっ!
隣のなっちゃんも写真で見るより断然可愛い。
目の保養になるなー。


「お前達がそんなに近付いてきたら食えないだろっ!折角オムライスもあんのに!」

何で怒ってるのかと思ったらオムライスって。
徹ってオムライス好きだったっけ?
今度作ってあげよっと。

「そうでしたか。それは申し訳ありませんでした…白薔薇にもこんなにもに愛らしい方がいらしたのですね」

静まり返った会場に女神の声が響く。
桜慈は人前だとこんな声なのか。可愛いなぁ。
今日は桜慈の可愛い所がいっぱい見れたから満足だ。

「本当ですわ。見た目通り、愛らしい方ですわね」

桜慈に続いてなっちゃんも徹を見て笑みを浮かべてる。
なっちゃんは見た目に合わないぐらい大人っぽい声なんだなぁ。
でも綺麗な声…

「ちょっと君達、僕の徹に気安く話し掛けないでくれる?」

「えー、何でだよっ!こいつらも友達じゃんかっ!」

桜慈達と話してる徹に後ろからちっさい人が抱き着いてる。
でも俺と同じぐらいの身長かな。
紅百合に居ても違和感が無いぐらい可愛い。
……桜慈には負けるけど。

「桐野、あのと…転校生に抱き着いてる人、誰?」

「あれはうちの副会長の福地 蓮華(ふくち れんげ)だよ。今かなり転校生に夢中らしい」

あの人が副会長か。
そういや、攻略したとか言ってたなぁ。
徹を気に入ってるのは分かるけどだからって女の子を睨むなんて男として最低だ。
可愛い顔しててもそれは駄目だと思う。

「そちらの方もそうおっしゃって下さっていますし構わないでしょう?あら、口許にケチャップが…」

副会長に睨まれても気にしてない桜慈はスカートからハンカチを取り出して徹に差し出した。
桜慈は肝座ってるからなぁ。
そして徹はこの空気の中オムライス食べてたのか。流石王道転校生。
紅百合から止めてとか嫌とか凄いブーイングが…。


「そんなの使わなくてもこれで良いだろ」

副会長じゃない低い声が聞こえたかと思ったら大きな人が徹の顎を掴んで口許のケチャップを舐め取った。
人前でなんて事を…!

「けっ、汚らわしいっ!白桜の君と雛菊様の前で何という事をっ…!」

「不潔ですわっ」

紅百合から更にブーイングが。
でも当の本人達は気にしてないよ。
桜慈は口許を押さえて目がキラキラしてる。
なっちゃんに至っては胸元に手を添えてるけど明らかにガッツポーズしてるし。
腐女子って強いなぁ。
俺は自分の所為で男といちゃついてる親友の姿を見て居た堪れない気持ちなのに。


 


[*prev] [next#]
[mokuji]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -