声に乗せて | ナノ


 


「今日も生徒会の皆様素敵ーっ!」

「会長様ーっこっち向いてぇーっ!」

「風紀の方達も素敵だぁぁっ!」

こっちは白薔薇の歓声。
新入生が一定の距離は近付かないように気を付けながらガン見。
入学式の時にも思ったけど風紀への歓声は野太い気がする。


「きゃぁぁあっ!白桜の君、今日も麗しいですわぁあっ」

「雛菊様も素敵ですぅっ」

「こちらを御向きになってぇぇぇっ!」

こっちは紅百合の歓声。
前にチラッと桜慈から聞いた事があるけど…本当に凄い歓声。
そういやさっき見た時、桜慈の隣になっちゃんが居た。写真よりも可愛らしい子だったなぁ。
じゃあ雛菊はなっちゃんか。
こっちも負けじと必死だけど何というか…


「お互い、異性に興味無いんだね」

「昔っからなー」

テーブルの傍で黙々と食べながらステージの方の人集りを眺める。
皆料理を食べようとしない。
勿体無いなぁ。

「お前の兄さん、頑張ってるぞ」

「ほんとだ」

怒鳴るとまではいかない陵の声が聞こえる。
本当に入学式のデジャブだ。
生徒会の人達は面倒だからって今更止めようともしないらしい。
桜慈を見ようとしても俺は背が低いから人集りの中の桜慈の頭しか見えない。
なっちゃんに至っては頭すら見えない。
折角桜慈の制服姿を堪能出来ると思ったのに。
仕方ないから料理に夢中になろ。
美味しいやつは今度俺も作ってみようかな。


「あ、俺が取りますよ?どれが良いですか」

「えっ、…そ、それとそれを」

「はい、どうぞ」

「有り難うございますっ」

お代わりを取ろうとしたら紅百合の人も同じように手を伸ばしてきたからお皿を受け取って料理を乗せたんだけど…凄く挙動不審だった。
俺、何か変な事しちゃったかな?

「橘ってジェントルマンだなー」

「え?これぐらい当たり前じゃない?父さんに女性には優しくしなさいって言われて育ったし」

「ジェントルマンじゃん。白薔薇の奴は生徒会とかに必死で紅百合に優しくないから驚いてたよ」


それは男としてどうなんだ。
女性に優しく出来ない男は駄目だろ。
そしてあれは驚かれてたのか。
良かった、引かれてた訳じゃなくて。


「じゃ、俺も橘を見習おっと。はい、どうぞ」

「あ、あ、有り難うございますっ」


桐野も同じようにお皿に料理を盛り付けて紅百合の子にお皿を渡す。
女の子は顔を赤くして受け取った。
あれ?俺の時と反応が違うよ。
やっぱり美形の方が良いのかな。


「ああーもうっ!お前ら皆うるさーいっ!!」

料理を楽しんでたらこの会場に居る誰よりも大きな声が響き渡る。
ああ、今日も本当にお疲れ様です徹さん。


 


[*prev] [next#]
[mokuji]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -