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新入生歓迎会

 


楽しみのような不安なような気持ちを抱えたまま午前中の授業を終えて待ちに待った新入生歓迎会!
桜慈の晴れ姿を見るのに浮かれてたから会場に着くまで忘れてた。
よく考えたら、桜慈は生徒会長なんだから紅百合の代表として1年や役員の前で挨拶する。
髪型や服装は違うけど顔立ちとか髪の色でバレてしまうんじゃあ…!
と思った俺の不安は無駄に終わった。



「──紅百合女学院生徒会長、橘桜慈が新入生歓迎会のご挨拶を行わせていただきました。これより皆様、存分にお楽しみ下さいませ」

ステージでグラスを片手に挨拶しているのは俺の可愛い妹。
あまりの麗しい姿に開いた口が塞がらない。


─あれが『白桜の君』だぜ。

─すっげぇ美人じゃんっ!

─声まで綺麗だなっ。


耳に届いたヒソヒソ話に思わず頷く。
綺麗に巻かれた薄ピンクに輝く金髪。
白くきめ細かい柔肌。
ぷっくりとした少し赤い唇。
長い睫毛に縁取られた少しつり目気味の大きな目。
赤を基調にしたお嬢様な制服がよく似合う。
どこをどう見ても絶世の美女だ。寧ろ女神だ。
桜慈もバレないようにって意識して化粧を濃くしていつもより可愛らしい顔立ちになってる。
あれで男だと思う方がおかしい。
絶対おかしい。
もう駄目だ、叫びたい。
桜慈可愛いよぉぉぉぉぉっ!!って満足するまで叫びたい…!


「白桜の君、ますます美人になったなぁ」

桐野と一緒にテーブルに並べられた料理を自分の皿に取っている時にボソッと呟いた。
そうか、桐野は中等部にはここに居たから桜慈を知ってるのか。

「確か橘は初めて見るよな?…お前、白桜さんと同じ名字じゃん」

白桜さんって。
同じ名字なのは当たり前だよ。兄弟なんだから。
そう言いたいけどこの場で言うのは戸惑うな。
誰かに聞かれたら面倒な事になるし。

「偶然だって」

「そりゃ分かってるって。白桜さんの親戚ならもっと美形だろ」


こ、コノヤロウ…!
悪気が無いのは分かってるけどちょっと悔しい。
いや、良いところが全部桜慈に行ったから桜慈はあんなに可愛いんだ。
桜慈が可愛いなら俺の事なんかどうでも良い!


「それにしても、どっちも相変わらずだなぁ」


 


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