２
そりゃ桜慈が目撃されたなら一緒に降ろした徹も見られてるよね。
しかも、変装してない姿で。
「その時の転校生の格好が真っ赤な髪で眼鏡を掛けてなかったらしいんだよ。今までのが変装で、元はランキング上位に食い込む程の美形なんだって」
「へ、へー…だから隣のクラスに人集りが出来てんの？」
桐野と話しながら教室に向かったら隣の教室の廊下には見た事が無いような人集りが出来てて指差した。
凄い…徹を見ようと皆必死だな。
だからここに来るまでの廊下に居た生徒が浮き足だってたんだ。
徹も美形だもんな。だから王道転校生に抜擢されたんだよ。
「それで、生徒会が本格的に動いて王子様の正体を探り始めたんだよ」
「えっ！？」
驚いて思わず声を上げてしまった。
だって何で今更生徒会が？って思ったら桐野の話によると、徹にベタ惚れの副会長と総取締役が俺の徹と私服デートしたのは何処の何奴か調べ出して締め上げてやる！って事らしい。
やっ、止めてー！桜慈に何する気だよっ！
それで王子様の一件を任されていた風紀委員長である陵が朝から呼び出されたらしい。
だから居なかったのか。
なんか事態が悪化してる気がするけど、このお陰で錯乱されてる、のか？
流石に王子様が桜慈ってのはバレないと思うけど…
そういや、肝心の会長の名前が無い。
「桐野、会長は？会長も転校生にキスしようとしたぐらい気に入ってるんだよな？」
「んー、会長はどうなんだろな。とにかくその2人がキレてるんだと。しかも見た目が良いって分かったから更にベタ惚れ状態」
あああ、徹ほんっとごめん！
徹が段々王道らしくなってきてる気がするけどそれと同時に徹の立場が。
桜慈は喜ぶだろうけど一気に罪悪感が込み上げてくる…
「今日の新入生歓迎会、荒れるかもな」
教室に入って席に着く時に桐野がボソッと呟いた言葉に納得した。
生徒会と風紀だけを見ただけでも騒ぎになるのに今まで煩いオタクと思ってた転校生が美形ときた。
それに桐野も居るしランキング上位が一斉に揃う。
絶対皆はしゃぐし荒れる。主にそれを抑える風紀の2トップが荒れる。
紅百合に、寧ろ桜慈に迷惑を掛けないようにしてほしいなぁ。
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mokuji]