3
2人ともほんとに食べるのが早くて俺がハンバーグを1つ食べ終わる頃には2つ完食してた。
やっぱ多目に作って良かった。
まだ残ってる分は明日食べよう。
「それじゃ、俺はこれで失礼します。陵さん、来週は必ず見張りに参加して下さいよ」
「分かってる」
俊稀さんも片付けを手伝ってくれて今は玄関で見送りをしてる。
陵が書いた始末書が重そう。
「それじゃ…燈瑪、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
最後に俺にも声を掛けて俊稀さんは帰っていった。
「やっと帰ったか」
戸締まりを確認してたら後ろから重みを感じた。
ほんと、くっつきたがりと言うか…
「燈瑪、約束」
「約束?」
抱き着かれたままリビングに戻るなり後ろから顔を覗き込んでじっと見つめてくる。
約束って、何かしたっけ?
「頭、撫でてくれるんだろ?」
「ああ」
そういえばしたよな。
俊稀さんのお出迎えにビビッてすっかり頭から飛んでた。
陵は撫でるのも撫でられるのも好きなのか。
「でも撫でにくいんだけど」
取り敢えず撫でようと体を離して振り向いたけど背伸びをしないとまともに撫でられない。
俺ちっちゃいし陵はでかいし…
「じゃあ、これで良いだろ」
「え?」
そう言って俺の手を引いてソファーに座る。
陵の膝の上に横向きで座ってるんだけど流石に恥ずかしい。
「……撫でたら降ろしてね」
確かに撫でやすい体勢になったし約束は守らなきゃね。
陵の髪って実は柔らかいんだよな。
整髪剤付けてるから今は分かんないけど昔は髪短くてふわふわしてたし。
ピアスとか開けてるのに髪は染めないのか。
まぁ、黒髪似合ってるから染める事もないか。
「はい、終わり。さっさとお風呂入ってきて」
ある程度撫でてから膝の上から退いたら不満そうだけど、いつまでもそうしてられないし。
風呂場の方を指差したら渋々陵は部屋へと向かった。
俺も早くお風呂入りたいなぁ。
日曜は帝からの呼び出しも無かったし出掛ける予定もなかったから部屋から出なかった。
だから、学園内が騒いでいる事に全く気付かなかった。
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mokuji]