声に乗せて | ナノ


 


「美味ぇ…燈瑪、この間食ったやつと違う」

「今回は細切れに切った牛肉混ぜて作ったんだ。俊稀さん、美味しいですか?」

「まぁ、悪くねぇ」



焼き上がったハンバーグを盛り付けて食事の準備が整った頃に丁度陵も始末書を書き終えた。
チラッと始末書の束を見たけど、まさかあんな量を書かなきゃいけないなんて…!
1枚書いたぐらいで書く事なくなるよ。

そして今はご飯中。
2人と向かい合うように食べてる。
たまに俊稀さんと目が合うんだけど照れ臭いなぁ。

「俊稀、燈瑪の料理が不満なら俺が食ってやる」

「不満だなんて言ってないっすよ!」

イケメン2人がハンバーグを取り合ってる。
これ、桜慈が見たら喜ぶだろうなぁ。
前に2人の事、「ワンコ委員長×ツンデレ副委員長萌えー!」ってはしゃいでたし。
俊稀さんはツンデレ属性らしい。


「あの、おかわりならまだあるよ」

「「おかわり」」

2人の様子をぼんやりと眺めて思い出したように声を掛けた。
この2人、いっぱい食べるから沢山作ったんだった。
陵に声を掛けたつもりだったのに俊稀さんまで皿を差し出してくる。
ほっぺが膨らんでモゴモゴしてる。
そんなに焦らなくても。
思わず笑ってしまった。

「そうだ」

2人にハンバーグを乗せた皿を差し出して席に着いて俊稀さんを見つめる。

「俊稀さん、俺の事も弟じゃなくて名前で呼んで下さいよ」

いつまでも弟って呼ばれるのはちょっと。
それに俺、本当は長男だし弟って呼ばれたら一瞬誰の事か分かんないんだよなぁ。

「なっ…別に弟でも良いだろっ」

「そうだ。燈瑪は俺の弟なんだぞ」

陵は何でそこで便乗してくんのっ!
眉間に皺寄ってるし。

「名前の方が呼ばれ慣れてるんで。もし名前で読んでくれたら俊樹さんの好きな料理を振る舞います」

交換条件って何か卑怯な感じだけど。
でもそれにつられてくれるかどうかだなぁ…

「……燈瑪」

じっと見つめてたら視線を逸らして小さな声で呼んでくれた。
俊稀さんは食べ物に釣られやすいのか。
何かあった時の為に覚えとこ。

陵が何か不機嫌そうだけど俺達はそのまま食事を楽しんだ。
牛肉入りハンバーグ、今度桜慈にも作ってあげよ。


 


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