声に乗せて | ナノ
ご褒美タイム

 


「じゃあ早速キスして」

「はっ!?」

話し合いも済んだ時、急に発した徹の言葉に驚いて声が裏返ってしまった。
ほらー、落ち着いてた桜慈と陵も怖い顔になっただろー。
まぁ、いつもなら桜慈は怖い顔をしても可愛いけど今は男の格好をしてるからちょっと迫力がある。
それでも徹は気にせずじっと見つめてくる。
そんなに見るなよー…

「俺、今日書記にキスされたけど我を失わずにちゃんと王道主人公を貫いた」

「…」

「会長にも殴り掛かって総取締役にも気に入られた」

「……」

「これって、ご褒美に値する行いだろ?」

「……はい」

そうだよ、転校初日で此処までやったのは凄い。
普段の徹では考えられない行動を完璧に熟したんだ。
約束したからには守らないと

「お、俺から、すんの?」

昔から一緒に居る桜慈と陵の前で友達の徹にキスするなんてかなり気まずいし恥ずかしい。
なんて考えてたら徹の顔が近付いてきた。

「燈瑪、顔赤くて可愛い」

徹、俺の顔が赤くても決して可愛くない。
可愛いのは桜慈の担当だから。
って言おうとしたけどガッチリ顔を掴まれてキスされた。
俺、今、徹とキスしてる。
やっぱり嫌!って思わないな、うん。
徹だからか?まぁ、流石に知らない人とはちょっと。
桜慈の秘蔵の本のお陰もあるかなー。
とか考えてたら徹の唇が離れた。
意外と柔らかかったな。

「消毒完了」

自分の唇をペロッと舐めて満足そうに笑う徹。
何をどう消毒したかは分かんないけど良かったね。

「燈瑪、今すぐ消毒してやるからな」

今度は徹とは反対側に居る陵に頬をガッチリ掴まれて振り向くなりキスされた。
あまりに荒々しく唇が重なったから反射的に瞼を閉じた。


 


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