SSS置き場 | ナノ


 鳴海と音哉(大学生)

おとやんから、今日泊まりに行ってもいいかってメールがきて、部屋がとっ散らかってるからめちゃくちゃ悩んだけど、夕飯と朝飯は俺が作るからってあったからいいよって返信した。おとやんの作る飯は美味いからな!
おまけにリクエストにも応えてくれるらしいので、悩んで悩んでカレーにした。最近レトルトばっか食ってたから、具がごろごろ入ってるカレーが食いたくてさ。

「なんか手伝うことある?」
「今んとこない。あったら呼ぶ」
「えぇ……それじゃ申し訳なさすぎるじゃん……。おとやんに作ってもらってる間、俺はどうしてればいいっていうの?」
「適当になんかしてろ」

おとやんが飯を作ってくれるからいいよって返事したわけだけど、全部任せるのはちょっと気が引ける。かといって俺に手伝えることはなさそうだけど。逆に足手まといになりそうじゃん?

米をといで炊飯器にセットするという仕事を終えた俺は、仕方ないからおとやんが作ってるところを眺めることにした。俺の視線に気付いたおとやんがじろじろ見られると気が散るからやめろって睨んできたけど、手際がいいからつい釘付けになってしまう。おとやんが切った具材を炒める頃、俺だったらまだ玉ねぎを泣きながら切ってると思う。しかも切り終わったと思ったら端っこが繋がってんの。

いつの間にかうとうとしてたらしく、はっとするとカレーのいいにおいが部屋に充満していた。冷蔵庫に入ってる野菜でサラダも作ってくれてて、その盛り付けもきれいでおとやんはいい嫁になれると思った。きゅうりの切り方もおしゃれだし、レタスのちぎり方もイケメンだし、なんかこう、サラダ! って感じのサラダがそこにはあった。俺が作るとただ野菜ちぎってそれを皿の中にぶちこみました〜っていうもはやただの野菜の盛り合わせ(しかもきれいじゃない)になるのに。作る人の差なんだろうか。

「おとやんの作ったカレーめっちゃくちゃ美味ぇ!」
「市販のルーだけどな。俺は野菜切っただけ」
「おとやんほんと料理上手いよなー。絶対いい嫁になれる。つーか俺がもらいたいくらい」
「えっそれは嫌」
「ちょっ、真顔で即答しないで!」

こうやって誰かと一緒に飯食うのも久しぶりだなー。コミュニケーションにも飢えてたし、飯につられたとはいえ急いで部屋片づけてほんとによかった。

「野菜の切り方もきれいだし、今度料理教えてくんない?」
「そんなの、楽器と同じで数こなせば慣れる」
「そりゃそうだろうけど、俺が切ったってこんなイケメンな切り方にはならないからさー。そこんとこ教えて」
「イケメンな切り方ってなんだよ。マジでなんなのそれ」

イケメンな切り方につぼったらしいおとやんは、むせるくらいイケメンな顔を崩してしばらく大笑いしてた。

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