SSS置き場 | ナノ


 朔楽と鴨部

クリスマスだからといって家族以外の誰かと一緒に過ごさなくちゃいけないということはないけど、恋人もいなければ友達と呼べる友達も少ない僕は、この時期が近付くと吹奏楽部で本当によかったと思う。アンサンブルコンテストにクリスマスコンサートと、なんだかんだで忙しいからね。

「吹奏楽やってるとクリスマスに予定なくても言い訳立つけど、逆に言うと吹奏楽やってるから恋人なんかできひんよなぁ」
「ですよねー……」

もちろん僕には彼女なんていたことないけど、部活が忙しくてそんなことを考えてる余裕もなかったりする。それが原因で分かれたカップルもいるって噂だしね。僕には無縁の話だけど。

「でもまあクリスマスに予定入ってちょうどよかったわ。もともと日本人には関係ないもんやけど、みんな予定入ってるとなんか焦るやん?」
「分かります……。でも、鴨部先輩がクリコンに出るのはちょっとびっくりでした」
「なんや? 俺が部活に顔出さんのは女作って遊んでるからとでも思ってたんか?」
「そっ、そういうわけじゃ……!」

てっきり僕は、鴨部先輩は進路関係のことで忙しいから出ないだろうなと思ってた。クリコンって自由参加だし。

「今年で最後やしな。みんなの仮装もおもろいからそれも楽しみやし。鳩村くんはなんの仮装するん?」
「ぼ、僕は……サンタの帽子かぶるくらいです……」
「なんや、つまらんなぁ。ま、鳩村くんらしいけど。そんなら俺はトナカイにしよか。セットにしたほうが見栄えええやろ?」
「……ありがとうございます」

厳密に言うと、クリスマスコンサートは毎年クリスマス前後の土日だから当日じゃないんだけど、今年のクリスマスも楽しみだ。

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