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 ひなと×真夏

クリスマスあるいはクリスマスイブを恋人と過ごすなんて、と今までは思ってたけど、彼女ができた今はその気持ちは分からなくはない。ベタだけど手を繋いで一緒にイルミネーションを見て、なんでもいいから二人でご飯を食べてハッピークリスマスって言いたい。けど、真夏が外を歩くのが嫌だって言うんなら、家で二人でささやかなパーティーをしてもいい。とにかく俺は真夏とデートがしたい。普段なかなかできないんだから、このくらいは許されるはずだ。

「え? クリスマスですか? うーん……」

そう思って、十二月に入ってすぐ真夏にその話を持ちかけてみたら、予想に反して微妙な反応だった。美味しいもの食べようって言ったら、てっきり目を輝かせて喜ぶかと思ったのに。

「あ、安心して……クリスマスだからって手を出したりしないから……うん……」
「……会長ってほんとに男なのか時々心配になりますよね」

彼女とクリスマスにデートして手を出さない方がおかしい、って三日月は言ってたけど、クリスマスって男女が交わるための日じゃあないし。……それを言ったらクリスマスを口実にデートする日でもないんだけど。そもそもここは日本だし。ただ、すぐそっちに持ち込むのは俺としてはどうかと思う。

「嫌ってわけじゃないんですけど、二十六日じゃダメですか? もしくはその次の日」
「真夏とデートできるなら俺はいつでもいいよ? でも、無理に予定空けたりしなくて大丈夫だからね?」

……やっぱり、予定、あるよなー……。友達と過ごしたり、家族と過ごしたり。最初に約束があるならそっちを優先するのが当然だと思うし、クリスマスを一緒に過ごしたいっていうのは俺のわがままだから押し通そうとは思わない。でも、イブでも当日じゃなくてもいいから、年を越す前に一度は会いたい。

「クリスマス過ぎるとケーキが安くなるから」
「え? そういう理由?」
「クリスマスは毎年冬子ちゃんとパーティーするのもあるし」
「そっかそっか。パーティー、楽しんできてね。そして二十六日はケーキいっぱい食べような」

クリスマスムード一色の街の中を歩けないのは少し残念だけど、冬休みに真夏と会えるならいつでもいいや。

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