SSS置き場 | ナノ


 ひなとと真夏

「会長って、カップラーメンとか食べたことあるんですか?」
「……あるよ」

どうやら真夏は俺を相当な坊ちゃんだと思っているらしい。俺の家は病院だし、周りと比べたら多少は裕福なんだろうけど家は豪邸ってほど広くないし、執事やメイドなんかももちろんいない。お小遣いの額が少し多いくらいで。

「コンビニ弁当」
「あるよ。というか、昼は大体コンビニで買ったサンドイッチとかおにぎりだよ」

昼といえば、真夏と一緒に昼休みを過ごしてみたい。真夏の作ったお弁当も、高校生のうちに食べてみたい。そんなの、高校生カップルなら自然なことなんだろうけど俺たちには到底無理なんだろうな。

「駄菓子」
「それもあるよ。俺はみんなが思ってるほどお坊ちゃんじゃないって」
「でも、カップラーメンすすってる会長って想像できない」
「一昨日の夜にテレビ見ながらすすってたよ」
「意外に庶民的な生活してるんですね」
「だーかーら、俺は庶民だってば」

カップラーメンは親が忙しくて夕飯を作れない時によく食べる。しょっちゅう食べてたら体に悪いっていうのか分かってるけど、自分で作るのも面倒でつい。

「それが知れたら『生徒会長さまって意外に私たちと同じように庶民的なのね』とか『カップラーメンを食べてる朝比奈様も素敵ぃ〜』ってな感じでもっと人気出そう。会長たち見てると世の中って見た目がすべてだなって再認識させられる」

俺たち、っていうのは、俺に昼間と三日月を入れたメンバーのこと。
コンビニ弁当のひじき食べてたくらいで、何が珍しいんだか動物園のパンダみたいに注目されるしな……。落ち着いて弁当も食えやしない。ひじきに入ってた枝豆を食べてるところの何が珍しいんだ。そんなどうでもいいことを事細かに実況しないで欲しい。

「きゃー生徒会長さまがおせんべいなんて食べてるー!」
「おいやめろ、それは真夏でもやめてくれ……」

女には四六時中監視され、何をしても騒がれ、男には疎まれ、こんな人生もう嫌だ。

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