SSS置き場 | ナノ


 鳴海×律(大学生)

りっちゃんがユーフォを吹き始めて、そろそろ一年が経とうとしていた。
まだ音域は完全に広がってないけど、課題もあるけど、曲も結構吹けるようになって、パーカスもやりながら一年でここまでできるようになったのって本当にすげーと思う。中学生や高校生の時と違って毎日吹けるわけじゃないし。

「僕のレベルでよかったら、なるみんとアンサンブルやりたいな」

そこで、夢だったりっちゃんとアンサンブルがしたい、と思い切って言ってみたら、笑顔でいいよって言ってくれたりっちゃんはマジで天使。俺にユーフォ習い始めた時に一度言ったんだけどさ、もし気が変わってたらあれだし念のため確認として。

「やりたい曲ある?」
「なんでもいいの?」
「なんでもいいよ!」

最近編曲を覚えたこともあって、それもやりたいっていうのもある。奏斗に編曲なんて簡単だぜって言われた時はさすが天才この野郎としか思わなかったけど、実際やってみると思ったより難しくなかった。っていっても、あくまで好きにやる分にはね。

「じゃあね、中島みゆきさんの『糸』がいいな」
「糸?」
「知ってる?」
「何年か前にCMでやってた曲だよね」
「そうそう」

はじめて聞いた時、いい歌だなって思ってフルで聞いた記憶はあるけどCMで流れてたサビしか覚えてない。同時に歌詞を調べた時にすげーいい歌詞だなって思ったのは覚えてる。……歌詞もサビしか覚えてないけど。

「好きな曲なの?」
「うん。歌詞を見た時にね、すごく素敵だなって。特に最後の歌詞が好きで、なるみんと僕がそうだったらいいなって思ったから――って、お願いだから今は調べないで」

りっちゃんも歌詞がいいって言うから、どんなだったけってポケットからスマホを取り出したら阻むように右手を掴まれた。

「っていうか、さっき言ったことは忘れて。は、恥ずかしいから」

思わず頷いたけど、忘れられるわけもなく。


家に帰ってから調べてみたら、深夜だっていうのに変な声を出して俺は膝から崩れ落ちた。

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -