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 真冬と真夏

時刻は草木も眠る丑三つ時。とある家のリビングには、未だ明かりがついていた。

「もう一戦やっとく? それとも変える?」
「もう一戦。負けて終わるのは悔しい」

ゲームのコントローラーを握る二人の男女の周りには、大人も子どもも、男も女も入り混じって、その辺で雑魚寝していた。

鳥海家では親戚が集まると決まってゲーム大会が行われる。老若男女、大人から子どもまで部屋に集まってとにかくゲームをするのだ。誰が言い出すでもなく、やることをやって夕飯を食べ終えると自然と皆リビングに集まり出す。
大人は宴会をしながら参加していることもあり、だんだんと落ちていく。小学生は深夜になるにつれてひとり、またひとりと睡魔に勝てずにこちらも落ちていく。最後に残るのはいつも真冬と真夏の二人だった。

もともと口数の少ない二人だから、二人だけになると会話はほとんどないが、数人のいびきと時々誰かが発する寝言で部屋の中は騒がしかった。

「あーもうちょっとだったのに。くやしい。もう一回」
「明日にしようぜ。俺もさすがに疲れた」

今回、先に折れたのは真冬。コントローラーをぽいと床に投げ捨て、伸びをしながら大きな欠伸をひとつ。ふと時計を見ると夜中の三時を回っていて、さすがの真夏も驚く。

周りを見て、このままここでは寝られるスペースがないと判断し、寝ている親戚と散乱しているゴミを踏まないように隣の部屋に移動する。

「起きたら片付けるのめんどくさいね」
「負けた数が多い奴にやらせればいいだろ。そしたら俺とお前は免除のはずだし」
「でも起きたら覚えてるかな」
「ないだろうな」

いろいろなゲームを数えきれない回数やったし、正確な勝敗数はカウントしていないしいちいち覚えてもいない。
毎回「ゲームで負けた回数が多い人が後片付けと掃除をする」というルールがあるのだが、調子にのって酔っ払った大人たちの記憶がなくなるため、そんなもの関係なしに叩き起こされるのだ。

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