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 音哉×奏斗

夏祭りに来ると、奏斗はまずかき氷を買う。シロップは決まってブルーハワイ。小学生の時から変わってない。
そのついでに、俺も夏祭りで最初に食べるのはかき氷だった。シロップはその時の気分。なにを選んでも「かわいい」って言われるのが少し腹立つけど、なら開き直って今年はいちごにする。

真っ白い氷の上に青いシロップがかかるのを眺める奏斗の横顔は幸せそうだ。奏斗の次に頼んだ俺のかき氷ができあがるまで待っててくれる奏斗が少しだけ嬉しい。

「音哉ー見て見てー」

半分くらい食べると青く染まった舌を見せてくる。無邪気に笑って、べーと舌を出す奏斗。これも変わらない。
青いとそのまんまのことを言うと満足して、ストローに口を付ける。赤いラインが入った白いストローの中を、青い液体がのぼっていくのが見えた。

「音哉のも見せてよ」
「俺の見たっておもしろくないだろ」
「おもしろいから! 見せて! 俺も見せたじゃん!」

俺のはいちごなんだから、少し赤くなってるだけでお前ほど変わらないだろうに。俺のも見せたからって、俺が頼んだわけでもないだろ。
一度言い出したらきかない性格なのはよく分かってるから、少しだけ舌を突きだす。赤いね、と言って奏斗は笑った。なにがおもしろいんだか。

「次なに食べるー? 俺たこ焼き食べたいな。あ、でも焼きとうもろこしもおいしそう。クレープもいいなぁ」

からになった容器を片手に奏斗が立ち上がる。わたあめ、りんご飴、焼きそば……目移りしてどんどん食べたいものが増えていく。もはや俺の答えは求めてないらしい。

「そんなに食うのかよ」
「食べるよー、だって屋台の食べ物っておいしいんだもん」
「分かる。なんかうまいんだよな」

その小さい体のどこに入ってるんだか。奏斗はよく食べる。その割に身長はまったく伸びてないけど。

「で、まずなににすんの?」
「んー、悩むけどやっぱたこ焼き! 一緒に食べよ!」

はやく、と急かされて溶けたかき氷を流し込む。立ち上がると腕を掴まれて屋台に向かってまっしぐら。ついさっきまでかき氷を持ってたせいで、奏斗の手はひんやりしてて気持ち良かった。

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