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 ひなと(×真夏)

「もうこんな時間!?」

ふと時計を見たらとっくに日付は変わってて、もう少しで二時になるところだった。まさかそんなに時間が経っていたとは思わなくて、思わず声に出してしまった。

今日は金曜日。明日は休みだしと勉強はそこそこにして、久しぶりにゲームをしていた。
久しぶりにやったせいかつい熱中してしまって、気が付いたらこんな時間。寝ようにもゲームのし過ぎで目が冴えた。明日――いや、今日か、今日は特に予定もないし、早起きする必要もないけど。

真夏はもう寝てるよな。真夏は遅くても日付が変わる前には布団に入ってるらしい。明日が休みでも。夏休みでも。えらい。

寝てるのは分かってるけど、真夏のことを思い出したら真夏の声が聞きたくなった。メールでもいい。おやすみの一言でいいから欲しい。
待ち望んでいたゲームが発売されたばかりで、最近生徒会長室にもほとんど来ていなかった。楽しんでる真夏の邪魔はしたくないからメールも電話もしてない。真夏の楽しみは邪魔したくない。

なんにしろこの時間じゃ真夏は確実に寝てるから、起きたら適当にメールでも送ってみよう。

ベッドに行こうとして、携帯が手元にないことに気付く。制服のポケットに入れっぱなしだった。
メールが来ていたらしく、どうせ三日月だろうと思って開いてみたら、案の定三日月――、ともう一通、真夏から。……なんで今日に限って制服のポケットに入れっぱなしにしてたんだ、俺。

慌てて確認したらなんてことない内容だったけど、時間を見て驚く。一時半ってことは、ついさっき届いたらしい。寝てたらごめん、って書いてあったけど、今日はばっちり起きてた。
珍しいな、どうしたんだろうと思いながらメールを何度か見返してたら、少しスクロールした下の方に「ゲームが楽しくて時間を忘れてた」ってあって、顔が緩むのが分かった。真夏もそういうこと、あるんだ。

「おやすみ」

このメールを送った後にすぐに寝たかもしれないし、返信は明日、じゃなかった、今日起きたら。真夏に届きはしないけど、閉じる前に画面に向かって呟く。

なんてことはないんだけど、真夏も俺と同じようにゲームをしてて、時間を忘れてさっきまで起きてたのかと思うと、なんかこう、嬉しかった。

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